L 決断する

映画は「決断の表現」といえるほど、製作の現場では、つくり手の判断が作品の良し悪しを左右します。OKか、NGか。それらの判断は撮影現場はもちろん、その準備や進行、すべての裏方にまで通じるものです。映画をつくるためには、決断力が求められます。

例えば、天候ひとつで決断を迫られます。「晴」のシーンを撮影する日が「雨」だったら、どうでしょう。このまま撮影を行えば、考えていた「晴」のシーンは撮れません。しかし撮影の中止は、これまでの準備や進行を覆すことになり、新たな問題を残します。空模様をにらんで「晴」を待つのか、「雨」を生かす方向で考え直すのか。中止した場合、予算や出演者の日程調整、撮影許可など問題がクリアできるのか、など即断即決が求められます。

このように映画製作の現場は、条件や状況によって些細な判断から重要な決断までが複雑にからみます。そこで私たちは現場での複雑な判断を、最も重要な2つの決断にまとめています。それは「撮影するかどうかの決断」と「撮影した映像がOKか、NGかの決断」です。

「撮影するかどうかの決断」は、撮影までの準備を問うものです。イメージ通りのシーンを完成させるための要素が全て揃っているか、逆に邪魔なものは無いかを判断します。そのためにはシーンで重要な要素が何かを事前にはっきりさせておかなければいけません。その重要度を基準に「決断」するのです。

「撮影した映像がOKか、NGか」は、撮影した映像の完成度を問うものです。撮影した映像がイメージ通りか否か、最大限こだわりを貫く必要があります。しかしながら、「完璧」という条件は厳しいものです。これも、シーンの重要な要素をはっきりさせておいた上で、重要度が低い順に「妥協」も覚悟しなければなりません。

一瞬の決断が表現のかたちをつくると、私たちは考えています。

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