大阪市の財政の現状


 先日発表された平成11年度の予算案によると、平成11年度末の大阪市の借金は4兆7,962億円、市民一人当たり184万円にもなると見込まれています。借金額は、平成10年度末時点では、約4兆5,000億円ですから、3,000億円も増えることになります。平成元年度末時点では2兆4,000億円でしたから、10年間で倍になっています。

 このことは何を意味するのでしょうか?

 今の大阪市の街づくりは、借金を重ねることによって成り立っているということです。大阪市は「街づくりを進める中で無理なくオリンピックを開催できる」と言っていますが、「借金を積み重ねる既存の計画の上で」オリンピックを開催できるということです。「借金を重ねればできる」というのでは、無理なくできることになりません。

 「借金して」であれば、借金して施設を残せばいい、という考え方も通用しますが、「借金を毎年積み増して」街づくりをしているのでは、将来世代にツケを回しているとしか解釈のしようがありません。(街づくりの結果、みんなの給与が倍になるのなら話はわかりますが、現実はそうではありません。)そんな街づくりは、許されるものではないので、方向転換する必要があるわけです。

 ところで、いつまで今のような財政運営ができるのでしょうか?上で「将来にツケを回す」と言いましたが、もしかしたらあと2,3年で財政が破綻してしまうかもしれないのです。

 大阪府が財政破綻し、四苦八苦していることは新聞報道等でご存じかと思いますが、これは単年度収支が赤字になり、資金の調達ができなくなった状態です。大阪府は、景気に左右されやすい法人2税に税収の多くを頼っているため、バブル崩壊後に税収がひどく落ち込みました。それで一般会計の収支が悪化し、赤字になるから人件費や福祉費をカットする、というような問題になっているわけです。現在の税制度は、公共事業の比較的少ない都市部の都府県が真っ先に危機に陥るような仕組みになっています。

 大阪市も、景気の低迷により大阪市の税収は減少しています。他方、借金の返済額は今後もどんどん膨らんでいきます。(ちなみに、大阪府の借金額は平成11年度末で約3兆8,000億円ですから、大阪市のほうが借金額は大きいのです。)平成11年度末には、財政の弾力性を示す経常収支比率は83.7%と前年(85.2%)を上回り、公債費負担比率は「警戒ライン」と言われる15%を突破し、15.9%となっています。

 財政破綻すれば、職員や市民に負担を「お願いする」ことになるのでしょうが、片方でオリンピック招致を続けていれば、みんな本当に深刻な事態だと思って協力してくれるでしょうか?


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