-
朝6時、そっと窓を開けてみると、暗い空の雲の間から山が見えそうです。昨夜、風呂へ入らず寝てしまったのでシャワーを浴びてまた見たら周囲の山々がハッキリと見えてきました。富士山より高いところへ登るために高山病になります。高山病を軽減するために朝飯をしっかり食べると良いそうです。朝飯から部屋へ戻ると、さらに山がハッキリ見えてきました。そして、朝日が当たり始める頃になるとすっかりその姿を現したではありませんか。ホテルのフロントに山頂のモニターから来る映像も『山頂は快晴』との事です。
しかし、昨夜の大雪で1mも雪が積もってしまったので朝7時の登山電車は運休しているそうです。でも8時の電車は動きそうだとの事です。
やったぁ。
今回の旅行最大のイベント、ユングフラウ登山が実現するかもしれません。山頂の気温はマイナス19℃だそうです。早速、厚手のセーター、マフラー、手袋など寒さに対する厳重な支度をして出発です。雪山は紫外線が強いのでサングラスも持参しています。
←ホテルを出て自分が泊まった部屋を見上げてみました。
ホテルから登山電車の始発駅『グリンデルワルト』へ向かうバスの中から周囲を見ていると、山の雲が消えて行きます。でも、周囲の家々には1mも降ったと言う雪が積もっています。果たして登山電車は動くのでしょうか?
-
-

8時発の登山電車を待っていましたが、なんと雪のため運休となってしまいました。さらに我々が向かう山の反対側へ行く電車は雪崩防止のために運転の見込み無しとの事です。
すっかり気落ちしてしまいましたが、次の9時の電車が動くかもしれない、との事なのでこの付近をぶらぶらして運転再開を待つことにしました。

グリンデルワルト駅は、アイガーの麓にあります。アイガーは4000m級の山、麓から見上げると、ちょうど富士山をまっぷたつに割って、その麓から垂直に上へ伸びる崖を見上げている様な感じです。
山頂が頭の上に覆いかぶさってきそうです。
この山の上の部分をめいっぱい拡大してみると山の尾根を吹き抜ける風が作る雪煙の様な雲がかすかに見えます。

紺碧の空に真っ白なアイガー北壁がそびえています。
垂直のアイガー北壁が白いんです。雪が落ちない?
氷になって岩にこびりついているのでしょうか。
不安な1時間が過ぎました。9時になり駅へ戻ると、9時の電車は動かすとの事。やったぁ。早速電車に乗り込んで動くのを待っていました。電車は9時19分発車です。出発時間になると8時を待っていた人と、9時に乗るためにやってきた人などで超満員になりました。乗客の7〜8割が日本人でしょうか?大勢の日本人が来るんですねぇ。
電車はグリンデルワルトを出発すると一旦谷へ降りてグルンデと言う駅まで降りて行きます。ここからアイガーの付け根を山の上に向かってかなりの急勾配を登って行きます。
電車の車窓から上を見上げるとアイガー北壁が迫ってきます。
グルンデで外を見ると、左の写真の様にレールの間にラックと言う歯車が見えます。電車はこの歯車を使って、急な斜面を、まるで階段を登るように登って行くのです。
駅に止まっている電車の屋根に積もった雪が見えますか?
パンタグラフが完全に雪に埋まっていますね?
かなり降った様です。
電車はぐんぐん登って行きます。
始発駅があったグリンデルワルト
村が谷の向こうに点々と見えてい
ます。
さらに登ると『スフィンクス岩』が見えてきました。左の写真の左から1/3位の所を拡大すると右の写真の様になります。もう少し拡大すると良いんですが、ほんとにスフィンクスみたい。
さらに登って、クライネシャイデック
手前まで来るとグリンデルワルトの村
は足の下に隠れてしまいそうです。
写真右下に村が小さく見えています。
標高2000mほどの所に今乗ってき
たベルナーオーバーラント鉄道の終着
駅『クライネシャイデック』がありま
す。クライネシャイデック駅で頂上へ
行く登山電車に乗り換えます。
-

クライネシャイデックでグリンデルワルト村を
見下ろすと足元に小さく見えています。写真の
中央下にみえる村がグリンデルワルト村です。
右手に黒く陰となって少しだけ見えているそび
え立つ壁がアイガー北壁です。これからこの山
の中をくりぬいたトンネルを登って行くのです。
-
アイガーの頂上へ向かう電車は駅を出て、まるで階段を登って行くような感じでぐんぐん登って行きます。5分ほどもするとこの岩山をくりぬいたトンネルへ入ります。トンネルの中でも上へ上へと登っています。しばらく登って行くとトンネルの中に『アイガー』と言う駅があります。
この駅で5分停車します。乗客は全員降りて、アイガー北壁にポッカリと開けられた穴から外を見ています。グリンデルワルトの村は足元にあるのですが、近過ぎて見えません。おそらく、真下を見られるなら始発駅が見えるんでしょうねぇ。駅からここまでは1500m以上の標高差があるはずです。駅の海抜は3000m、空気が薄くなり、みなさん高山病でふらふらしている様です。こういう時は飴をなめるなど甘い物を食べると一時的に血中糖度が上昇して症状が緩和されるそうです。私は甘いクッキーを食べて頑張ります。
5分と言う時間はあっという間に過ぎて、駅員の『出発〜』(たぶん)と言う声がトンネル内に響きます。あわてて電車へ戻りました。さらに400mほど上にある頂上駅へ向けて出発です。
電車が頂上駅へ到着しました。頂上の展望台からまず4階へエレベーターで登り外へ出ます。外と言ってもそこは氷の中、つまり氷河の中なのです。氷河の厚さは7mと書いてあります。氷河のトンネルには氷を削った彫刻がいくつかありました。
さらに先へ進むと外へ出る出口があります。しかし、昨夜の大雪で半分ほど埋まっており除雪作業の最中です。
我々は予定より1時間遅れで行動しています。夕方の新幹線『TGV』でフランスへ向かわなければなりません。残念ですが、外へ出てみる時間がないので駅がある展望台へ降りて行きます。
展望台の窓から見ると左にアイガー、中央に氷河が削った谷?、そして右手にユングフラウ?が見えます。振り返ると近くにメンヒがあります。しばらくこの景色を眺めていたいんですが、時間がありません。
展望台自体も崖の上に作られています。
周囲は崖ばかり。よく作りましたねぇ。
この展望台にはエレベーター、空調をは
じめ最新の設備を誇るすばらしい展望台
です。立派なレストランもある様です。
なんと、こんな所に郵便ポスト(日本製)とカップラーメン(韓国語)がありました。おなかがすいたので食べてみました。キムチラーメンです。結構おいしい。7スイスフラン(600円)は少し高いけどここで食べたラーメンの味は最高でした。
時間が無い我々はゆっくり出来ません。
-
次の電車(12時)で即下山です。
-
せっかく来たのにね〜 ただ来た、と言うだけになってしまいましたぁ。まぁ、また来れば良いか。次回来ることがあったら、1日ここでの〜んびり周囲の山を見ていたい物ですね。出来れば外へ出て氷河の上も歩いてみたい。でも、滑って危ないのかもね?それにとっても寒いんだろうね。気温『ー20度』なんて書いてある。