「芹澤イクト」過去話:禍以降


《プロローグ》

「んん・・・・ん・・・・・あ・・・流衣さん・・・」
「・・・くすっ・・・」
そっと目を開く・・・・
わずかにかすんだ視界に真っ先に飛び込んできたのは、見まごうはずもない彼の愛する者の姿である。

・・・・ここはフォーチュン・・・・・

世界を破滅へと導いたあの「大いなる禍」より10年が経過していた。世界はようやく復興の兆しを見せ始め、人々は荒廃した土地を切り開き、コロニーと呼ばれる集落をつくってくらしている。
コロニー・ガイア・・・かつて新宿と呼ばれた場所に作られた巨大なコロニーである。
フォーチュンとは、ガイアにおいて将来上級職に就くために、能力の秀でた者をあつめたエリート養成機関である。

「ン・・なんだか・・気持ちよく寝ちゃった」
寝ている間に眼鏡が外れてしまったらしい。わずかに視界がぼけている・・・
「はい・・・これ・・・」
流衣がそっとテーブルに避難させていた眼鏡をイクトに渡す。
「ん・・・ありがと(^^)・・・・はふぅ・・・」
いかにも甘えるような仕草でイクトは流衣の膝に頭を乗せる・・
「ふぅ・・・」
満ち足りた笑顔で流衣を見上げる・・・イクトが唯一流衣にだけ見せる表情であった。
「くすっ・・」
流衣も笑顔でそれに答え、優しくイクトの髪をなでる。

「こうやってるとねぇ・・・思い出すよ・・・」
しばしの沈黙の後、イクトが唐突に話し出す。
「ん・・・何を・・・?」
イクトはふと上を見上げる・・・
だがその目は何も見てはいない。ただ遠くを見ているようでもある。
「昔・・・こんな風にしてもらったこと・・・」
「ふぅん・・・してもらったこと、あるんだ・・・」
「ン・・・・ボクがまだ小さかった頃・・・・・・・」
目はまだ遠くを見たまま、イクトは語りはじめた・・・・


この話の続きを・・・・(ちょっと語り口が変わります)

聞きたい  (ようやくアップ(^^;;まだまだ途中だけど・・・)

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