多次元尺度構成法
観測された類似度(あるいは非類似度)−たとえば建物の間の距離は一種の類似度と考えることができる−から、観測されたデータの中にある構造を見つけ出す方法の一つ。
たとえば、10個の対象の類似度を、何人かの被験者に評定させると10行10列の類似度行列(対角要素は0で、下半分と上半分には同じ数値が入っている−対称行列−)ができあがる。
この情報を全て活かそうとすると、10次元の空間が必要になるが、それでは、データの中にあるかもしれない構造を直感的に把握する事が困難となる。
そこで、多次元尺度構成法では、これらのデータから、多くても3次元(多くは2次元平面)の空間のなかに、元のデータの持っている情報をなるべく減らさずに、対象を布置する。
こうすることによって、多次元のデータの中に隠れている構造を、視覚的に捉える事ができる。
データは順序尺度以上であれば良い。
建物間の距離を用いた例
- データとして用意されているのは関学の10個の建物の間の距離データである。これは、一種の類似度(あるいは非類似度)と看做す事ができる。
- このデータが29名分SPSSデータセットのなかに格納されている。
- 各データは対角要素が0の対称行列であり、対角要素の下の部分だけを入力すれば良い。
- このデータを用いて、ここに隠れている構造を2次元平面上に表現してみる。被験者の29名が「正しい距離」を入力していれば、2次元平面上に「正しい建物の位置関係」が再現されるはずである。
- 2次元平面上に再現された建物の位置は、各被験者の「主観的地図」を表していると考えることができる。
実行方法
- 「統計」→「尺度」→「多次元尺度法」を選択する。
- 10個の変数を全て選択する。
- 「モデル」で、尺度データは「比データ(比例尺度)」、「尺度モデル」は「個人差ユークリッド距離」を選ぶ。
- 次元数は2次元を選んでおく。
- 「オプション」でグループプロットを選び、2次元平面上の建物の布置をグラフで見る。
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