Last update Oct.01,2001

Crescendo〜永遠だと思っていたあの頃〜 / D.O.

サイトの紹介絵を一枚見ただけで惚れ込んで、以後一切の事前情報シャットアウトするほど期待していたのですがよかったです。 とりあえずこの絵を見て、気に入られたのならばここから先は読まずに買ってプレイしてください。 とはいえ、URLを見ると/newsoft/だからそのうち404でそうだ・・・ さらにサイトのほうにも本編まんまな文章がキャラクター毎に結構な量公開されているのであわせてそれを見れば判断はつくでしょう。 となると俺が書くことはほとんど無いって話しもあるんですけどそれもなんなので以下レビューです。

このゲームについてまっさきに特筆すべき点はエロゲー史上最高の近親相姦物だということです。 本当にいいものをネタバレさせられると俺は悔しいので別ファイルにしてます。 一応核心部分は反転にしときますが、このゲームの購入について迷ってるなら見ずに買うことを勧めます。

ねーちゃんシナリオについて(ネタバレ)

それ以外にもハイクオリティな部分は山のようにあり、ラブなキスとか下着とかについて語りたいので続きです。

他人に干渉せず、また干渉もされずに学園生活を過ごしてきた主人公はそっけなくぶっきらぼうなので周囲から倦厭されていますが それは冷たいのではなく家庭の事情などヘヴィな体験で痛みを知っている分他人を傷つけたくないと思っている優しさと臆病さの不器用な表れなのです。 そんな主人公の内面になにかを感じて交流を持ったわずかな人間との卒業までの最後の5日間を描いたストーリーです。

こんな設定ですのでのっけから青春の甘酸っぱさ全開で少女漫画系なグラフィックが実に馴染んでいます。 ピアノソロを主体としたBGMもその雰囲気を盛り上げます。ジャンルは大人しめのラグタイムとクラシックで静謐な曲調です。出来は最高級、なんせ書下ろしではなく名曲をまんま使用しているので。 なおクラシック曲にはバイオリン入っているのもあります。

BGMとは従であり補なので作品にあっていれば名曲使用もOKだと思います。つまんない曲入れるくらいなら版権フリーなクラシックでも使ってください。 しかしピアノはマジで危険な楽器です。 単体の楽器であれだけの音域にわたる和音を自由度高く同時発音数10で鳴らせてしかも一音ごとの強弱の表情付けの幅も非常に広いのは半端じゃないです。一撃で空間の意味を書き換えられます。ピアノ以外の楽器では絶対に出来ない芸当です、バイオリンと並んで究極の楽器ですね。 じゃなんでギターを弾いてるんだよって突っ込みを自分に入れたくなりますがそれはともかくこのゲームのようにせつなさとかおだやかな雰囲気を持ったものには最適な選択です。

ただ、音質が少々よろしくないのが惜しまれるところです。これで本物のコンサートグランド生録していたらこのゲーム大変なことになっていただけにとても残念です。ていうか、まさかこれで生緑ってことはないですよね? ボイスはありませんが当然のことだと思いますこの雰囲気の中にボイスが入る余地などありません。入れなかった判断を肯定します。

紫川弓夜による原画最高です。女流らしいディティールへの拘りが全体の質向上に大きく寄与しています。 俺、男性向け美少女物に特有の不自然な服装大っ嫌いですけどこの作品におけるブレザーや普段着は普通に現実であってもおかしくないデザインでお洒落にまとまっていて好感度大です。

そしてそれにも増してイカしてるのが下着のデザイン! 暇なときに女性向ファッション雑誌とか通販カタログの女性下着欄とか見るんですけど、この作品では身に着けている下着が各キャラクターのイメージにとてもマッチしたものになっていているので下着状態で愛撫をするシーンのクオリティが桁違いです。ていうか空前って感じ。さすがは女流、ここにも気を使ってもらいたいと常々感じていた身としてはこの様な作品に出会うことができて望外の喜びを感じています。 まぁ、男のくせにこんなところで感心して萌えるのも俺くらいのもののような気もしますが・・・とりあえず絶後じゃないことを希望します。

ただ目のサイズで年齢を表わしているのか年上キャラ以外は立ち絵における目のサイズがちと大きいとも思います。しかしイベント絵で目を伏せたシーンなどの出来は抜群なのでOKです。自分、少女漫画大好きなので評価にフィルター掛かってるとは思いますが。

システムですがいつものやつでまず問題ないです。 ホイールによるバックログ機能、既読スキップ、速度調整可能な自動送りも完備しています。 ただ相変わらずセーブ数が30個とちょっと少なめなのと、右クリックメニューからしなければならないテキストウインドウの表示/非表示の切り替えは面倒ですけど。 (このゲーム、テキストウィンドウではなく画面全体にテキストが表示されるタイプなのですが便宜的に。だってなんていうのか分らないんだもん。) あとテキスト表示は全画面で雰囲気を考えるとテキストウインドウ物よりもあっていると思います。しかし台詞について該当キャラクターの名前が出ないってのは久しぶりな気がします。なんか新鮮に感じました。

ここからはシナリオについてです。 前述のようにゲーム期間自体は学園生活最後の5日間なのですが、要所つまり選択肢ごとに回想シーンが入るので 何故このキャラクターはこのような行動を取るのかとか、こういった想いを抱いているのかという点についてしっくりこないということはありません。タイミングといい内容といい実に効果的に配されています。 唐突さは感じずすんなりと入り込めました。 キャラクターは主人公と同じく文芸部に所属する部長で 普段は明るく誰からも好かれそうだけど本当の想い(要するに主人公への恋心)を表せない同級生で、現在は主人公の取り持ちで主人公の唯一の親友と付き合っているという、もうどうにもこうにも一荒れ必至な状況な歌穂。 モデル級の長身とスタイルでめっちゃカッコ良いのにそれがコンプレックスになっていて引っ込み思案な同じく文芸部の後輩。歌穂と同じく主人公に恋してる。そして主人公と歌穂に妹のようにかわいがられているというこれまた荒れそうな状況。ちなにみすぐに寝てしまうのがチャームポイント。 すっげー美人で姉さん肌のカッコいい大人の女性なのに、というかだからこそそれを押し隠すファッションとぶっきらぼうでそっけない言動の保険女医。 なお主人公は超絶サボリ魔でガッチリ計算して授業日数の1/3はこの保健室で過ごしているので学内では一番長い時間を共有しているぽい。 また主人公の姉の大学時代の先輩でもあるので本気で姉ちっくです。 主人公の義姉。 両親を失った主人公のために大学を辞めて働きながら姉と母の二役をこなしています。ちょっと口うるさいですけどそれも全て弟(主人公)への愛情です。当然こういう関係なので主人公は頭が上がるはずもないです。自分に姉はいないのであれですが、いかにも弟を大事に思っている姉だと思います。ちなみにこの「ねーちゃん」(主人公はそう呼ぶ)との話しが一番好きです。 あといろいろあって¥5000でウリやってる同級生。 ふとしたことで主人公の優しさを知って意識しています。 こういう人間関係で主人公が心に傷を負って優しいのにぶっきらぼうで不器用なので年上キャラとの話しのほうが良かったです。 文芸部所属の歌穂と杏子に親友の杉本を加えたやや四角関係はハイクオリティながらも普通にこの手の青春物ですが、保健女医の香織先生と義姉のあやめはヤバイです。 まずは香織先生、タバコとガーターの似合うメッチャ佳い女です。 包容力と母性に溢れた女教師物はelfとかで結構ありますが(最近だとあしたの雪之丞の詩織先生とか) ぶっきらぼうでそっけないってのはあまりない気がします。 といっても冷たいのではなく、養護教諭という自分の職務を理解し相手の気持ちを察したうえで理知的に振舞っているってのがもうたまりません。 しかも恋愛には初心なところもあって主人公にグッとくること言われるたときの狼狽える様はマジでそそります。しかもそのときですら口調は固いですそれどころか体を重ねているときもまんまです。 以下引用 「覚悟しろ」 「か、覚悟って・・・」 「怖気づいても途中でやめてやらない」 「立場逆」 「うるさい」 とか主人公の服を脱がす際に 「自分でやるから」 「うるさい、そんな不公平なことがあるか。私が剥いてやる!」 素敵すぎます。そのくせ 「いいの、オレで?」 「お前がいいんだ」 た、堪んねぇ! 実はいつも保健室にサボリに来る主人公のためにマグカップを専用に用意したりと、しかも理由が奮っていて誰にも見せない顔を見せてくれるのがうれしいから。マジ燃えます。 そしてテキストですがこのライターかなりいいです。 心情描写が実に巧です。 テキストウインドウなしでずらずら流れるタイプなのでスタイルはまんま小説ライク。 そこに女性側の心理についてもちゃんと書き込まれています。 顔射後の「汚してゴメン」みたいな状況で 汚してしまったという言葉が自分を大切に思ってくれていると。 飛び散る熱さが自分を求めてくれていると。 教えてくれるから。 濡れて汚れた下着を彼の目から隠そうとするところとか イッた後に顔を背けて「顔、見ないでください」 急激な覚醒のあとに待っていたのは、死ぬほどの羞恥だった。 はじめての快感とその頂を。見られたことがたまらなく恥ずかしい。 だがどこかに妖しい甘さを感じていることもまた、事実だった。 せめてもの救いは、顔を見られていないことだ。 快感に打ちのめされた女の顔を。 女の顔。 それを自覚する。 体中がいっそう、熱くなった。 ってエッチシーンばっかだなぁ・・・ ま、そんなかんじです。 クンニされて軽くイッた後にやめてと頼む、 「これ以上されたらわからなくなる。 憶えていたいもの、お願いわからなくなる前に・・・」 マジで感動しました。 よくエロシーンで、このように「これ以上されたら・・・」なシーンが出てきますが自分には何故ダメなのかわかりませんでした。しかしこれを見て女心というものを少しは分かった気がします。 これに限らず微妙な感情の機微に対する描写が素晴らしいです。 ベッドシーン 下着が素晴らしい。 格キャラクターの性格にマッチしたオシャレで可愛らしいものになっていて、下着姿のシーンがすごい眩しいです。 ようやく終わった。 ボリュームは並よりも少ないと思うのだが テキストのクオリティで時間が掛かった。 思わずじっくり読んじまったよ。 ていうか、漢字難しいの多いな。 俺結構本読んでるから漢字には自信あるが それでもいくつか分らないのがあった。 漢和辞典必要なエロゲーは初めてだ。 マジでシナリオライターの描写力すげー。 って、これ以上はレビューに書いたほうがいいな。 メインヒロイン5人を解くと最後に隠し(というほどでもないが)シナリオがあるのだがこれも良かった。 ピアノ教師を目指す美夢という病弱で儚いキャラクターでその名の通り美しい夢のようなストーリーが語られる。 キャラ設定に併せてエッチシーンの描写も他とは異なり幻想的な描写になっていて非常に美しいのですが漢字が難しいです・・・ それなりに本は読んでいて漢字の読みには多少自信があるがそれでも分らないものが数個有った。漢和辞典引かなければならないエロゲーのテキストというものに初めて出合った。 またピアニストというその設定からピアノを主体としたこのゲームのBGMがもっとも効果的に使われているシナリオである。まぁ演奏するシーンが多々あるので当然なのだが。 結末は・・・って書くと興醒めだな。俺はこの場合はこれでいいと感じました。