Last update Dec.21,2000

靡きの果実 ナビキノカジツ
-Sadistic Medicine Plus- / PIL

以前Sadistic Medicineとして発表された作品のリメイクらしい 「靡きの果実」についてです。

これは凄いですよ〜。一級のサイコサスペンスです。恐ろしすぎ! 特に残酷な描写や暴力的シーンはほとんど無いにもかかわらず、体の真から震え上がりました。

ふとしたことがきっかけになってすれ違ってゆく登場人物の心。 主人公と友人、そして二人が愛した女とのあいだでおりなされる どこまでもやるせなく、救いの無い愛の物語・・・

このゲームの前身である、Sadistic Medicineは自分にとっては絵的にアレだったので買わなかったのですが、今回は原画が変わっていてサイトのサンプルグラフィックに萌えに萌えたので、 薬でめろめろにしちゃってやりまくりでエヘヘヘェ。 なゲームだと思って煩悩の赴くままに衝動買いしちゃった物なのですが・・・ やってみるとまったく違ってました!(って、またかい!!) つうか、いい加減にKen氏がシナリオ書いてるって時点で気付けよな、オレ。

今回のテーマは昔から良くある 「男の親友同士が同じ女を愛したことが契機となって 些細なことからすれ違ってしまい、そして何もかもが狂ってゆく・・・」 という使い古された(よく言えば王道的)設定に対して、 自己とは、アイデンティティとは、記憶とは、そして精神分裂とは、 という道具を用いて新たな見せ方を提示しています。

普段は絶対のものと思い込んでいる、人間の精神、記憶、感情がその実持っている曖昧さをテーマとして、叙述トリックを駆使した一連のサイコサスペンスを発表をし続けるKen氏ですが今回もやってくれてます。 書いちゃうとネタばれになって、 この手のサスペンス物では興ざめしちゃうので詳しくは書きませんが、 ラストではあっといわされること間違いなしですよ! それともオレがアホなだけなのか・・・ それはともかく以前やった贖罪の教室と同様に続きが気になり一気にやらされてしまいました・・・マジ気になりすぎ!

つうか今回のは本当に怖いですよ〜。 心理学、大脳生理学に興味がある方は是非やりましょう。 一級の「作品」ですよ。エロを使ったこういう表現もありだなという。 そして、今回も超ドエロなのにあまりにも哀しくてヌケない作品だった・・・

あ、書くの忘れてた・・・
開発元はFlying Shineで、以前はシステム激重でプレイするのにかなりの忍耐力を要求されましたが、ここのビジュアルノベルのシステムも、回を重ねる毎に改善されており、ようやく並みの軽さになってきました。これなら可でしょう。 いや、インターフェイスはかなりクールなんですけどね・・・(つうか、変わってない) スキップどころか、通常のテキスト表示がクソ重いのに閉口させられたのも今となっては良い思い出です。つうか、最初からこのレベルにしてくれ・・・

贖罪の教室のときにも思ったが、 シナリオライターのKenマジ、半端じゃねー 人間の暗部を見事に書ききっている。 やっぱ、一番恐ろしいのは人間自身だよ。サイコサスペンス好きなら是非!!