お粗末なお話で申し訳ないですが・・・。

それは，私が高校２年生の秋，体育祭の日のことでした。

僕ら（高校生に戻った気分で自分のことを僕と呼ばさせていただきます）の高校の体育祭 は，地区を４つに分けて東部，西部，南部，北部で構成し，各実施競技の得点を 累計して優勝を争うという形で運営されていました。

僕は東部に所属しており，長距離走が得意ということでその当日は １５００ｍ走の選手として登録されていました。

話が随分まわりくどくなって申し訳ないのですが，僕が１５００ｍ走に出る ことになったことについては，ひとつ面白いエピソードがありますのでご紹介させていただきます。

それは，僕が高校１年の時のやはり同じ体育祭の日のことでした。

当時，僕は体育系のクラブに入っていて放課後は勉強もせず，毎日練習に打ち込んで いましたが，面倒見のいい１学年年上の先輩がいて部活の帰りによくお好み焼き屋で おごってもらったりしていました。

その先輩とクラブの練習が終わった後，学校のまわり１５００ｍくらいのコースを いっしょに走ったことがあったのです。

僕も長距離走には多少の自信があったので先輩に負けるとは思ってなかったの ですが，思ったより先輩も早く最後のラストスパート勝負になり僕は先輩に負けて しまったのです。

ちょっとショックでしたが，そんなことがあったことも１年生の時の体育祭の 時にはすっかり忘れてしまっていました。

その日，実はその先輩は１５００ｍ走の選手として登録されていたようなのですが， １００ｍとかと違って長距離は疲れます。誰しも出たくないというのが本音でしょう。

その先輩とは同じ東部地区でいっしょだったのですが，当日その先輩が僕のところにやってきて， 無理矢理１５００ｍ走の選手として先輩のかわりに出さされるはめになってしまったのです。

僕も多少の自信はあったとはいえ，体育祭は１年から３年まで区別なく参加 しているし，各地区代表として選りすぐられた選手が参加しているに違いありません。

僕はとても不安になり，ビリにだけはなりたくないな，かっこわるいから・・・という 面目，体裁だけにこだわっていました。

確か，各地区４名づつの１６名くらいが参加していたと思います。

他の地区の選手のことはわかりませんが，同じ地区の選手を見渡してみると 同じ１年生で目立ちたがり屋のＴがいるではありませんか。

すかさず僕は，「ラッキー，Ｔは長距離は僕より遅いはず，これで最悪，ビリから ２番はゲットだぜ！！！」とほくそ笑みました。（なんか性格悪そうな管理人ですね）

というようなわけで，１年の時の１５００ｍ走の号砲は鳴ったのですが，不安な スタートとは裏腹に僕は真ん中くらいの位置につけて走っていたのですが，周回ごとに 順位をあげていき，東部地区の応援席からは鉦や太鼓の大声援を受けながら？，最後は ４位でゴールし，東部地区のポイントゲットに貢献したのでした。（ちなみに 長距離走のポイントは短距離と違って結構大きなポイントが配分されていました）

話は続きがありまして，体育祭が終わった後の夜，星の瞬く校庭でいつものラグビー部の 連中とダベッていたのですが，実はその１５００ｍ走に当初出走する予定であった 先輩が何故かとっても暗いのです。

なんでかなと思っていると，その日の１５００ｍ走で僕があれだけ上位に 入れるんだったら，自分（先輩のこと）が出ればもっと上位に入ってみんなの 注目を集めていたはずだ，くっそーー，自分が出るんだったと超超超後悔していたようなのでした。

「まあ，なんて勝手な先輩なんざんしょ，先輩も結構目立ちたがり屋だったんですね！！！」などと思いながら，へっへっへと 舌を出していた僕でした。

随分話が脇道にそれたままになっていましたが，早い話昨年の活躍があったがために その年の体育祭では最初から僕が１５００ｍ走の選手として登録されていたのでした。

まあ，１５００ｍ走自体はあまり本題とは関係のないものなのですが・・・。

１５００ｍ走への競技を控えた僕は，自分のクラス（２階）へいったん戻り，近くの 男子用トイレへ立ち寄り小用を足していました。

すると「パスッ」という空気漏れのような音がどこからともなく聞こえてきたのです。

「はて？」と周りを見回してみると，男子用個室には人が入っている様子はなく，女子用トイレとはコンクリートの壁で仕切られて いますので「？？？」と思っていると・・・，わかりました。

男子用トイレと女子用トイレの窓際は，同じ大きな曇りガラスの窓が共用されており， その窓と壁のわずかな隙間から音は漏れ聞こえてきたようなのです。

少し耳を澄ませていると，また「パスッ」という音が聞こえました。

間違いありません。その音は一番窓際の女子用トイレの個室に誰かが入っていて おそらく大の方の用を足しているようなのです。

女子生徒が隣の個室で大便を・・・，女性の放屁音など聞いたこともなかった僕は どきどきしてきて，小用を終えたにもかかわらずその場でじっと聞き耳をたてていました。

体育祭ですので，校舎の中には生徒はほとんどいません。

僕の息子はぐんぐん大きくなって，パンツとジャージを持ち上げ，大きなテント張り状態に なってしまいました。

幸い誰も入ってきそうな気配はありませんので，そのままの状態のまま女性が個室を出ていく まで耳をそばだてていたのでした。

女性が洗面所で手を洗っている間に，僕も洗面所の付近に移動し，どんな女子生徒が用を 足していたのか見てみたいと思い，女性がトイレから出て行くのを待っていました。

女性がトイレを出て行く気配がしたので，そっと顔を出すと向こうへ歩いていく女性の 後ろ姿が見えました。

女性が向こう向きでしたので，僕はテント張り状態のままトイレから出て女性の 後ろ姿を見つめていましたが，残念ながらその女性は女子生徒ではなく確か美術の若い先生 だったと思われました。

でもその先生はあまり私の好みのタイプではなかったので，ちょっとがっかりと いうのが偽らざる心境でした。

でも，不幸なことに渡り廊下の向こうに国語の先生（女性）が通りかかり，僕のテント張り状態のジャージ姿をしっかりと目撃されてしまったのです。

その先生は，３０才代くらいで顔立ちの整った上品な感じの先生でした。

幸い，その先生には直接教えてもらってはいなかったことと，先生からはその後も何も言われなかったので ほっとしました。

でも，その出来事のおかげで１５００ｍ走のことはすっかりどこかへ行ってしまって，集中力というか 競技へのモチベーションはほとんど失われ，蝉の抜け殻状態になった私は１５００ｍ走へ出るのが大変億劫に なってしまいました。

僕はフワついた気分のまま東部の応援席付近に戻りました。

人生というのは面白いもので，ちょうどそんな時，例の先輩がやって来て１５００ｍ走へ出るのを代わってやろうかと 言ったのです。

僕は渡りに船とばかりに先輩をおだてあげ，まんまと１５００ｍ走への参加を昨年とは逆に代わってしまいました。

僕自身はほっとしたのですが，当の先輩自体の１５００ｍ走での成績はあんまり芳しくなかったように思います。

（というのは，その時すでに先輩の１５００ｍ走の結果自体にあまり関心がなくなり，競技をよく見ていなかったもので・・・・・・先輩ごめんなさい）


お粗末な話，ご静聴ありがとうございました。