Y2K(西暦2000年問題)

インコに限らず動物を飼う場合、緊急時に彼らの命をを守るための対策を考えておくことは大事なことです。

「Y2K」とは「西暦2000年問題」のことを言います。Yはyear、Kはkilo(1000)の略です。

今まで多くのコンピュータでは情報の容量を節約するために西暦を下二桁であらわしていました。そのため西暦2000年になったときに下二桁の「00」を西暦1900年と解釈して誤作動を引き起こす危険があります。「Y2K」が話題になってから技術者は対策をほどこしてきています。クリティカルな分野では対策がほぼ終了しているはずですが、現在あまりにもたくさんの機器にコンピュータが関与しているため、すべてを完全にチェックすることは不可能です。

同時多発のコンピュータの誤作動がどんな影響を引き起こすか、もしくは引き起こさないかは予測困難です。流通・運輸・金融は混乱するのか?電気・ガス・水道などのライフラインは?ネットをはじめとした情報網は?はたまた何もおこらず、せいぜい枕もとの目覚し時計が鳴らない程度のことですむのかもしれません。

この文章は不安をあおることが目的ではありません。まったくなにごともなく2000年の元旦を迎えられるのが一番です。ただY2Kをきっかけにそれぞれの家庭と鳥たちの危機管理を考えるのも無駄ではないでしょう。基本的には1ヶ月すごす程度の水、食べ物や暖・灯、消耗品などの準備をすることです。これらは安価ですし、もし何もおこらなかったとしてもそのあと普通に使ってしまえばよいのです。

多くの地域で西暦2000年の元旦は寒い冬のさなかです。長期間電気の供給がないことを想定して、いかに鳥の保温と安全を確保するかが課題となります。多くの鳥種は短期間の低温環境は耐えることができます。自分の家の鳥たちが寒さに強い種類かどうかを、獣医師に聞いておくとよいでしょう。また、温度管理のために持ち運べる温度計を準備しておきましょう。

サイズと暖房・換気設備にもよりますが、RV車やキャンピング・カーは短期の避難場所としては適しています。

暖房が使えなくなることを想定して、普段家の中でもっとも暖かく断熱性のある場所を探しておきましょう。ケージの大部分を厚めのカバーで覆います。窓の断熱がよければ、部屋に射し込む日光だけでもかなりの暖がとれます。

あまりにも室内温が下がった時には、使い捨てカイロをケージの底面(裏)に張りつけることで熱をゆっくりと床から放射させます。あやまってカイロを鳥にかじられる場所に置かないように充分注意しましょう。

家庭によっては薪や炭を燃やしたりポータブル・ガスコンロで暖をとれることもあります。この場合は換気に充分注意してください。鳥の呼吸器系はとても敏感で汚染された空気で容易に健康を害します。

明かり目的のロウソクの場合も換気が重要なのは同様です。教会などで用いられる無煙無臭の長時間用のロウソクが薦められます。燃焼器具を使う場合、不完全燃焼による一酸化炭素中毒にはくれぐれもご注意ください。感知器などが手に入れば理想的ですね(鳥が感知器にならないように!)。

自家発電機を使う場合は、換気のよい室外で作動させてください。悪天候が予想されるときは発電機に囲い(犬小屋程度のものに換気窓をつけたもの)が必要です。発電機の燃料は鳥の触れない安全な場所に保管します。

水は飲用のほかにも基本的な生活をするのに欠かせません。まる1日以上送電がストップしている状況では水の供給もいずれ影響を受けると考えたほうがよいでしょう。水は飲用のほかに洗浄なども考えると、(鳥をふくめて)一人1日4リットル弱使うものとして考えます。ミネラル水を買い置きしたり、空きボトルに水を汲み置きしておきます。飲用以外はバスタブの溜め置きを使うというのもひとつの方法でしょう。

餌の確保も重要です。ペレット、乾燥野菜、ドライフルーツ、シードなどは密閉容器で保存しておくと役に立ちます。高脂肪で普段は敬遠されるナッツも非常時は貴重なエネルギー源になります。

チェック・リスト

1.水  2.餌  3.ケージカバー  4.霧吹き  5.餌入れ 6.新聞紙  7.移動用ケージ、キャリー  8.応急処置セット 9.常用薬  10.ゴミ箱、ちり紙、消毒薬  11.タオル 12.鳥用おもちゃ  13.鳥の履歴、治療歴  14.使い捨てカイロ 15.ロウソク  16.差し餌用具



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