肩は人間の身体のなかでもインコにとって止まりやすく物理的位置も高いので、お気に入りの場所とすることが非常に多いです。周りから見ても肩にインコが乗っている図はとても微笑ましいのですが、いくつかの点に注意が必要と一般的にはいわれています。
ひとつは、インコとのコミュニケーションがとりにくいことです。あまりにも近す
ぎてインコのボディランゲージが読みにくくなるのです。また、インコの方も飼い主の表情や口の動きを見られなくなります。とくに肩から背中にまわって首の後ろにくるとまったくコントロール不能となります。
もうひとつは、インコのほうが人間よりも高い位置に長くいると、それ自体が攻撃性を引き出してしまうことがあります。インコは物理的な高低をステータスの高低として認識します。ハンドフェッド(差し餌された)のインコは、インコの目の高さが人間の顎よりも低い位置にくるようにするのが原則です。
さらに顔というのは人間にとって弱点が集中しているところです。インコに攻撃する気が無くとも、体勢を崩してうっかり顔にしがみつくと危険です。また、「Terrible
Twos」と言われている若鳥の反抗期や成鳥の性成熟期では、今までおとなしかったインコが、鳥が変わったように突然攻撃的になることがあります。顔の傷は精神的にもダメージが残りがちなので、予防するにこしたことはありません。
もちろん、こういった危険が常にあるわけではありません。セキセイインコ・ラブバード・オカメインコくらいまでの大きさのインコは、容認する意見も多いとおもいます。また中・大型インコでも多くの場合は肩に乗せていてもひどい事故はおこらないことでしょう。ただし、もし起こった場合双方のためにならないばかりか、インコ全体が危険な動物とみなされかねないことも心配です。
肩の上のように、人間の身体の一部をインコがテリトリーとして安住の場にすることはよくあります。鳥の体温、においなどが身近に感じられて、しあわせなひとときです。人間の身体のなかで安全なテリトリーとして問題なく提供できるのは、なんといってもエジプシャン・グリップです。エジプシャン・グリップをテリトリーとして認識したインコは、双方向にコミュニケーションがとりやすく、コントロールしやすく、問題行動の予防が容易で、しかもインコも人間も安全です。
インコがエジプシャン・グリップに乗る瞬間に、「ステップ・アップ」と声をかけてやると、それがすなわちステップ・アップ・トレーニングになります。ステップ・アップが身についたインコは、たとえば飼い主が両手を使いたいときに、いったん肩の上に乗せてもおとなしく待ち、作業がおわれば再び手の上にステップ・アップしてくれます。
人間の求めに応じていつでも肩から降りてくれるようであれば、青信号。一度肩に乗ると降りたがらない場合は黄色信号です。この場合は肩に乗せる時間をより短くしたほうが無難です。
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