噛むインコ

インコが飼い主を強く噛むので困る、というのはポピュラーな話題です。

まず単純に「噛む」という行為は、インコにとってごく自然な健康的な動作であるということをある程度理解しましょう。

人間は四つ足から二足歩行に進化して、前足は親指の向きが変わってものをつかみやすくなり、手になりました。手を器用に使うことで知能が発達し文明が生まれ文化が花開いたとも言われています。一方、鳥も四つ足の爬虫類からニ足歩行に進化しましたが、前足は翼になり空を制しました。そのなかでもインコは早くから他の鳥たちとは別の道をすすみました。

ヤットコのように曲がったクチバシと、ものをつかむのに便利な対趾足(2本ずつ前後に向かい合ったゆびの足)を持ったインコは、1つのクチバシと2本の足を、ときには手のように、時には3本の足のようにつかって、細かい作業もアクロバティックな動作もこなせるようになりました。

おそらく、インコの曲がったクチバシは、人間にとっての手のようなものだと思います。ウインドウショッピングをしていて魅力的な商品に出会ったら、だれだって手にとってみたくなるでしょう。インコもなにか魅力的な物体を見かけたら思わずクチバシがのびてしまうわけです。

手すりの端にある飾り玉、木のこぶ、ポケットの中の鍵…人間は知らず知らずさわってしまい、そして安心します。インコの甘噛み・試し噛みはそんな行為にも似ています。

しかし手は「触る」だけでなく、ひっぱたいたり、殴ったり、引き裂いたりする能力もあります。良く訓練された武闘家は、頭からつま先まで全身を武器としてつかえますが、普通の人にとって最も簡単な攻撃法は手を使うことでしょう。同様にインコにとって最も簡便な攻撃法はクチバシで噛むことです。



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