噛みグセを矯正する方法について、インコの行動学では次のようなポイントがあります。
(1)噛む行為を強調していかない
(2)噛むこと以外の望まれる行為を強調していく
(3)体罰は避ける
(2)噛むこと以外の望まれる行為を強調していく
この方法は、インコも人間もともに楽しめる素晴らしい矯正法です。
噛まないでおとなしく遊ぶときや、愛らしい動作をしたとき、愉快な行動をとったときに、やさしく声をかけて注目し、大いに誉めてあげます。「○○ちゃん、よい鳥だね〜。○○ちゃん、とってもお行儀がいいんだね〜。○○ちゃん、おりこうだね〜。」
人間にとって望ましい行動をとったときには、ここぞとばかりにウケてやると、インコの中でその行動が強調されていきます。たとえば、うまくステップ・アップができたり、人の言葉を真似たり、ちゃんと敷き紙の上で糞をしたりしたときに、「○○ちゃん、すごいね〜。○○ちゃんは、こんなこともできるんだね〜。○○ちゃん、えらいね〜。」と誉めそやします。
このような望ましい行動を繰り返しインコが行うようになれば、それが「得意技」であり、世間でいうところのいわゆる「芸」ということになります。コンパニオン・パロットにおける「芸」というのは、決して見世物にしたり自慢したりすることが目的なのではありません。飼い主とインコがともに楽しむと同時に、噛みグセなどの問題行動を予防し矯正できることが最大の収穫なのです。
(1)と(2)から言えることは、普段インコがなにもしない時に無反応でいる飼い主が、噛んだときに一生懸命止めさせようとすると、皮肉にも噛みグセを助長してしまうという結果になることです。噛まないときには、常に誉めて楽しい時間を演出し、噛んだときには何事もなかったように無視し反応しない。そして望まれる行動を「得意技」とするべく磨きをかけていくことが、結局は噛みグセ矯正の早道です。特に得意技や芸を見つけられない場合は、やはりステップ・アップがどのインコにも共通して薦められます。
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