体罰は禁物

噛みグセを矯正する方法について、インコの行動学では次のようなポイントがあります。

(1)噛む行為を強調していかない
(2)噛むこと以外の望まれる行為を強調していく
(3)体罰は避ける

(3)体罰は避ける

基本的にインコに体罰は禁物です。

しかし、一部の飼鳥家には噛みグセなどの矯正に、コントロールされた体罰を利用する人もいます。野生のインコが、群れの中で、うっかり仲間を強く噛んだりすれば、威嚇されたり反撃にあったりします。そのような体験を知ることで、やって良いことや悪いこと、群れの中での自分の地位などを身につけていくわけです。このやりとりを人間が模倣するのが体罰というわけで、やりかたによっては効果的な場合も確かにあります。

それでも体罰には慎重になったほうが良いというのには、理由があります。

ひとつには、鳥の身体は軽量化が進んでいるために脆弱な側面があり、人間の力でも容易に大怪我を負わせる危険があることです。

ふたつめには、体罰によってこれまで培ってきた信頼関係が崩れる可能性があることです。

みっつめには、体罰の種類によっては(1)と同じ理由で噛みグセを強調する結果になる可能性があります。

そしてよっつめには、インコの思わぬ反撃で人間が怪我をする可能性があります。

比較的洗練された安全な罰もあります。

手に乗っていることが前提ですが、噛んだときに乗っている手の方を揺らして小さな地震をおこします。噛むたびに自分の足元が不安定になるということを覚えてもらい、噛むことをやめさせます。

もうひとつ、噛んだときに見知らぬ場所に5分くらいの間ひとりぼっちにするという罰もあります。これは群れからはぐれる不安感を利用するものです。

どちらの罰もタイミングよく、いつも公正に行わなければいけません。そして1回罰したら、噛まないときにはその何倍も誉める必要があります。そういう意味ではやはり(1)と(2)が、噛みグセの矯正の基本となります。

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