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僕と/わたしとネオポケ *「わたしとネオポケ」ライター随時募集中!
第一回
 1999年。まだ冬着で無ければ外出が厳しい3月18日のN県。私こと野師は期待と諦めと哀れみと自責の念とその他諸々の複雑な想いを抱えて駅前の行き付けのゲームショップに足を運びました。ネオポケカラー、正確にはネオジオポケットカラーの発売日を明日に控え、先行発売の可能性を信じ、自転車を20分走らせて目的の店へ。いい加減この自転車も9年目ともなると乗るのも一苦労。お尻が痛い。
 件の店「デジタルプレイス」は、一昔前は「ファミコンハウス」とか何とかそんな名前だったんですが、次世代機ブームの頃に改名、今に至ります。その割には未だにSFCソフトの売り場が結構広かったり、メガドラとかPCエンジンとかの中古も結構あったりする古き良き店風な品揃え。田舎の店は妙に品揃えが良かったり、妙に値引きがしてあったり、妙に堂々と先行発売したりするのが良いところ。恐らくネオポケカラー(以下「色NP」)もその恩恵にあずかれるものと期待して開店と同時に店内へ。しかしそもそもそれを期待すること自体に何かしらの抵抗を覚えるのは何故でしょう。以前新日本企画=SNKにこっぴどく裏切られた事(注1)を身体が憶えているのでしょうか。
 今更何を躊躇せん、と己を鼓舞し、店内を見渡します。年末帰省した折に立ち寄って、ネオポケ(白黒)が陳列してあった棚を興味が無いかのように眺めます。露骨にそこに興味を示すのに抵抗を覚えるのもやはり不思議な事です。生憎まだそこには白黒ネオポケしか置いてありませんで、仕方なく店内を物色して時間を潰してみたところ、ロン毛の店員さんが小さめの箱を幾つか抱えて例のネオポケコーナーへ行くではありませんか。ドキドキしながら横目で観察し、店員さんが引っ込んだところで棚の前を通り過ぎざま確認したところ、先程まで無かった色NPが!心の中でほくそ笑みましたが、たった今陳列したばかりのところに待ってましたと言わんばかりに買いに走るのにはまたしても抵抗がありまして。どうしたものかと内心苦悩していたところ、私と同じように何をするでもなく店内をうろついていた、18.9才位にみえる男の客がレジへ。

  客「ネオポケカラーとRー2お願いします」

  店「本体の色は・・・」

  客「あ、予約してあるんで・・・」


俺より馬鹿がいたぞおい。勇気づけられましたね私。彼が立ち去り、店内に客は私だけ。後に続かんとばかりにレジへと向かいました。
-以下次回-

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