1999年春、中国(その2)

上海・和平飯店

上海・和平飯店。ベッドにズボンなどを脱ぎ散らかしている。


 中国についてふたことみこと

  1.  中国の町は広い。どの観光地行くにも2,3キロ離れている。
     歩いて観光は無理。とくにヨーロッパに行き慣れていると、つい徒歩で観光したくなるが、へとへとに疲れるぞ。
     それに、地下鉄や路面電車といった交通機関があまりないので、バスかタクシーを使うしかない。僕はタクシーばかり使ったら、町の地理がなかなか頭に入らなくて弱った。

     ところで、タクシーはみな、運転席が透明板で囲いがしてあった。強盗対策か?

  2.  中華料理は一人で食べられるようには出来てないみたい。円形のテーブルをぐるぐる回転させて料理を取ったりする形式からして、その事は分かるだろう。
     僕はセルフサービス式のレストランに入ったり韓国料理店に入ったりしたが、いまいち空しいものがあった。中国の水が合わないのか、脂っこい料理が胃にこたえたのか、しまいにはひどい下痢をしてしまい、体力を消耗してしまった。
     そういうわけで、食の本場中国で、僕は食べ物に恵まれなかった。これは残念でならない。

     ところで、中国のファーストフード店、フライドポテトに塩味が付けてなくて、袋入りのケチャップがついてくる。あと、上海のセルフサービス式レストランに入ったら、フライドチキンに甘い味付けがしてあって(砂糖でもまぶしてんじゃないか)、まずくて食べきれなかった。
     妙なところで中国の味覚にギャップを感じるのであった。

  3.  中国の通貨単位は元、角。1元=10角。僕が旅行した時1元=約14円だった。
     ところが、「元」は現地では「圓(ユアン)」と称することが多いので、一瞬日本円かなと思うこともある。ちなみに、日本円は「日元」、アメリカドルは「美元」である(アメリカは中国では「美国」という)。

     さて、中国のお金、コインもあることにはあるのだが、1元とか5角のレベルまで紙幣で出回っているので、戸惑ってしまう。5元を払うつもりで5角札を渡してしまいおこられた事もある。

  4.  大学の第2外国語などで中国語を履修されている方、中国語の授業はまじめに出席しましょう。中国語の発音、独学ではとてもマスターできません。
     僕は中国語のレッスンを受けた経験はなく、旅行直前「最初歩」と銘打った教則本を買ってみましたが、最初の発音だけでギブアップしました。
     中国語には「ピンイン」といって発音をアルファベット表記したものがありますが、これさえローマ字や英語とは随分勝手が違って、発音するのが難しい。
     大学で中国語を習った人の話によると、発音を教えるだけで前期の半年かかったとか…


 8月26日(木)

 今日は蘇州(スーチョウ)へ行く。「東洋のベニス」と称される水の都である。また「蘇州夜曲」でも有名である。
 町歩きの好きな僕にとって、この町は今回の中国旅行で最も関心のある所であった。

 蘇州は上海から鉄道で約1時間である。
 切符はホテルで手配してもらった。中国の駅の窓口は常に混雑しており、外国人が個人で切符を買うのは困難だからである。中国旅行で一番困難なのは鉄道の切符を買うことだとは、よく言われている。
 軟座(1等座席)で12元。ホテルでの切符の手配料40元の方が遥かに高い。
切符・上海→蘇州
上海→蘇州の切符。中国の鉄道もコンピュータ化が進んでいる。


 上海駅。
 待合室の入り口では、飛行場の手荷物検査で見るようなX線検査機に荷物を通すようになっている。鉄道駅でこういうのを見るのは初めてである。
 それから、列車毎に指定された待合室に入る。体育館のように広い待合室の奥に、プラットホームへの改札口がある。

上海駅
上海駅。駅前は人でいっぱい。


 さて列車に乗ってみると、1等車とはいえ破れかかったソファ席が並んでいるすすけた車両で、少しがっかりした。
 定刻に出発した列車は、のろのろと上海市内を通過し、郊外に出るとスピードを上げた。田園を駆け抜け、やがて運河を小船が浮かぶ蘇州らしい景色が見え、蘇州駅に到着。


 しつこい客引きをかわしながらタクシーに乗りこみ、「南園賓館」と書いたメモを見せる。同ホテルは庭園の中にいくつかの寝室棟が建てられている、別荘風の宿である。

 さて、その南園賓館で旅装を解いた後、近くの海鮮料理屋で昼食を済ませ、北寺塔(ベイスーター)へ出掛けた。報恩寺境内に建てられた八画九層の塔である。

北寺塔
北寺塔
 上海にいた時はタクシーに乗ってばかりいたが、今度はバスを利用してみる。市内の目抜き通り「人民路」をまっすぐ走るだけだから、これなら何とか乗りこなせそうと思ったのである。
 バスは、2つの車両が幌で連結された構造になっている。こんな長いクルマを運転して、カーブで後ろをどこかにぶつけないものかと思う。
 運転席脇の金属箱に運賃1元を投げ入れ、車内へ潜りこむ。立ち客が多い、というより、座席そのものがあまりないようで、座っている人が少ないのである。
 道路の舗装が悪いのか、しばしばどかーん!がしゃーん!と激しく振動し、乗客がよろける。バスが停車するたび、人の肩の間から窓外に一生懸命目を凝らし、バス停の名前を確かめた。

 汗をかきかき、塔を昇った。まったく、夏の華中は蒸し暑くてかなわん。すぐTシャツが汗でぐっしょりになる。
 最上階から、係員のたどたどしい日本語の説明を聞きながら、望遠鏡で町を眺めた。コンクリートのアパートが並んでいたりして、水の都とはいえども蘇州も中国の一都市だな、という印象を持った。


蘇州・南園賓館

蘇州・南園賓館


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