モトラ話2(2000年)


エンジン受難

前ぶれ。故障原因を作る。
エンジン不調になる。
 ある日、エンジンが急に不調になりました。アイドリングと中速回転はなんとか正常に回るのですが、低速回転時と高速回転時はうまく燃焼してくれません。点火時期かとも思いましたがスロットルの開度に反応してる様なのでキャブレターだと推測しました。が、モトラの場合燃料コックがキャブレター側に付いているので、ガソリンが満タン状態ではキャブ・タンク間でホースを外したくありません。ひとまずサボり気味だったクラッチ、タペット、キャブの調整をして様子を見ました。やっぱり直りません。結局、ホースをロッキングプライヤーで潰して燃料を止めて、タンクとキャブを分離しました。・・・この時、エンジンとキャブはインマニ・エンジンの間で分離したのですが・・・コレが後に問題となるとは・・・。


 キャブレターを分解したところ、何やらピンク色の樹脂風の物がカチカチに固まっていました。う〜ん。何だろうこれ。材質的には燃料タンク内にコートしたシーラーが溶けだした様に見えますが・・・そんな物がガソリンで溶けたら本末転倒もいいところだけど、きちんと硬化する前にガソリン入れちゃったかな

 エンジン絶好調になる。
 取りあえずキャブレターの分解掃除を終え、ついでにホースのジョイントも買ってきてキャブレター/フィルター間に取りつけました(写真・青矢印)。コレはタンクに燃料の残った状態でもこぼす事無くホースを分離出来る優れ物です。この後、何回も使う羽目になって重宝しました。(とほほ・・・)
 とにかく事前に各部調整した事もあって新車の様に調子が良くなりました。メーター上に書き込まれている最高時速の65キロがちゃんと出るし・・・。



圧縮がない!

・・・本当に壊れる
 ・・・本当に壊れる
 好調は本当に気持ち良いのです。つい遠乗りに出かけてしまいます・・・。そんな時に事件がおきました。全開走行中にエンジンが止まったのです。キックを踏むと抵抗無く下りる・・・圧縮が無い!

 幸か不幸か、止まったのは郊外の工場と原っぱしか無い場所で、人目を気にする必要がないのは良いのですが、公共交通が近くに無いので、家に帰るために炎天下をバス停まで30分歩き、さらに30分バスを待つ事になりました。・・・3日前にエンジンに触った後、工具類をそのまま家に置いていたので車載工具さえ積んでおらず、とにかく家に取りに帰らないと話にならないのです。

 (そのバス停は、去年、転倒してアバラ骨を痛めた帰りにガソリンスタンドで休んでいる時に、「へぇ、こんな所にバス停が有るんだ。」と思って記憶していた所です。)

 車で工具類を持ってモトラの元に来た時にはもう日が暮れて蚊が沢山出没している頃でした。取りあえずタペットを見ましたがアジャストが狂ってる訳でもなく、カム周りも正常です。それで圧縮が無いとなればピストンかバルブの問題でしょう。何にしろ路上修理は不可能と判断。車で持ってきたカバーをモトラに被せ、物陰に置いて帰る事にしました。


 なんやかんやで4日程放置していましたが・・・
 ようやく引き揚げに行きました。私の車は4ドアセダンなのでモトラを積めません。車体をバラして積むしか有りません。色を塗った時に一度分解していて勝手は判っているので、片っ端から部品を外して行きます。
 冷や汗が出たのは最後の最後にエンジンを下ろそうとした時です。カブ系エンジンはわずか2本のボルトで吊されているのですが、実は以前から1本が無くなったまま乗っていました。たった1本のハンガーボルトで良くエンジンがぐらつかないなぁ・・・と思っていたのですが、実はボルトが無くなっていたのでは無く、途中で切断してボルトの頭側が抜け落ちてたのです!。当然ネジ山の切ってある方は中に残っていて、エンジンはどうにか固定されていた訳ですが、これではレンチが使えず、正規の方法ではエンジンは下ろせないのです。エンジン以外全部外した後なのに・・・ここまで来てどうする!
 でも、結論を言えば、ネジ山部分で折れていたお陰で何とかなりました。僅かに外に突き出ていたネジの先端をペンチでつまんで回転させ、本来とは反対側に抜く事が出来ました。ネジの切っていないシャフト部分で折れていたらと考えると、今でも冷や汗ものです。


(後日談 この時注文したハンガーボルトの伝票には、残り2個と書いてあった様な記憶があります・・・2002年現在、この大事なパーツは欠品となっています。)

エンジンを開けて・・・
 モトラはエンジンを開けやすい?
 答えはNO!。センタースタンドと後輪の3点で自立する車体なので一見すると車上整備しやすそうなモトラですが、なにせフレームが「外骨格式」なのでキャブやヘッドまわりに工具を入れづらいし、何よりヘッドを外す為にフライホイールを固定しようと思っても、副変速機があるために腰下左カバーを開けるのが面倒です。点火系がポイントではなくCDIなのは、このカバーを開かなくて良いように?(笑)


 まぁ、とにかくカムスプロケットのボルトを外す為には、まず左クランクケースカバーを外さなくてはいけません(実は、左カバーの中心にある「巨大マイナスネジ」を開れば済むのに気づかなかった。アホ)。その為に、まず副変速機を外さなくてはいけません。最初、副変速機ごと左カバーが外せないか試したのですがダメでした。副変速機のカバーを外すとクリップで止めてある部品があって、それが邪魔していました。この辺の設計は何とかならないのかな・・・。

 優れ物のクリッププライヤー
 で、クリッププライヤーを持っていないのでホームセンターに買いに行きました。クリッププライヤーは先の曲がり方、外開き、内開き、で各種売っていますが、私は3種類の先っちょがセットされ、それぞれ内開き、外開きに対応出来る『一個で六個分』の使い道がある優れ物(ちょっと怪しい)を買ってみました。こういう便利そうな物は何にも使えない場合が多いのですが、プロならともかく、我々素人は数年に一回使うかどうかの工具を何本も揃えるより安物一本で間に合わせる方が賢いと思います。いや、実際使った感じも全然悪くなかったですし。

 ヘッドを外し、原因判明
 なんやかんやでフライホイールを固定し、カムスプロケットのボルトを外し、ヘッドをプラハンでたたきながら外しました。ある意味期待していたピストンに大穴が開いているような見応えのあるトラブルは無く、一見するとトラブル症状は判りません。原因はピストンかバルブと睨んでいたので、それでは最後の容疑者であるバルブを調べるとします。写真のように点火プラグを装着したヘッドをひっくり返し、その燃焼室にオイルを注ぎます。問題が無ければオイルは溜まる筈ですが、やってみるとツーッと減って行き排気ポート側から漏れ出しました!やった!犯人めっけ!。

 原因?。
 よく分からないのですが、聞いた話では・・・ 実は一番最初に書いたキャブレターをインマニとの間で外した後、取り付け時に十分に締めていなかったようです。ここに隙間があり(ガソリンが染み出していた)、空気を吸い、混合気が薄くなり、燃焼室が高温化した結果排気バルブ(バルブシート)を痛めた(?)のかもしれません。プラグも真っ白に焼けてました。もっとも張り付いていたカーボンが剥がれて挟まっただけのような気もしますが(笑)

 修理は・・・
 ココからが本題の様な気もしますが・・・結局、自分でやるのは諦めました。作業自体はやってみたかったのですが、今回1回キリの為にしては用意しなければならない工具が多く、後々邪魔になるりそうなので、店に修理を頼みました。金額的にも時間的にも効率的な選択です。もっとも「それを言っちゃぁ・・・趣味人としてどうなのよ。」とは思いますけど。もし、今度同じ事態になったら、バルブの摺り合わせを楽しむ気概で行きたいですね。
(結局、2002年にやりました。)

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