小松製作所 G25(T25) トラクター
 車を運転中、視界の隅に異様な物体がチラリ・・・

 ゲゲッ!25型!? いや、何か雰囲気が違う!もしや戦前のコマツT25か?いや、それは絶対に有り得ない!なんだなんだ〜!

 ・・・一瞬にして半ばパニックに陥る私もバカですが、まぁ、その反応も無理ないのです。私的には「見れる物なら見てみたい」と思っていたレア中のレア物だったのだから。

 全体が錆で覆われエンジンも有りませんが、私には非常に程度が良くみえました。近寄るとエンジンは無いものの他の部品に目立った欠品はなく、もし機械的な破損が無いなら自走出来そうな位の雰囲気でした。名板には「小松製作所」「昭和拾参年」の文字が刻まれ、T25であることを確信しました。僅かに残る塗色は水色(グレー)でした。

 小松製作所のT25は、量産された「最初の日本製トラクター」で、昭和6年から18年までの間に238台生産されました。戦後の「25型」はこれをベースとしていますが足回り等に違いが見られます。関連

 公に知られている現存車はコマツが近年レストアした1台のみ。その個体も満州から戦後内地へ運んだもので、戦後に類似の25型を数社が生産し寿命が尽きればスクラップにされた事も考え合わせると、僅か238台生産のT25の国内現存数は極めて少ないと思われます。なお、コマツのレストアした物は座席が横長の助手席付きで、その点こちらの方がノーマル然としています。

 当日ガレージから引き出された様な佇まいで、住宅街の道路沿いにポツンと一台置いてありました。とりあえず手元にあったビデオカメラの静止画で撮り、翌日、ちゃんと撮ろうとカメラを行ってみると・・・姿を消してしまいました!もしや「スクラップに出すため表に引っ張り出したのか?」と最悪の想像してしまいましたが、後日、奥の建物にあると聞いてひと安心、オイルパンに水が溜まっていたので一時的に外に出して日干しでもしていたようです。発見出来たのはもの凄い偶然だったのですね。この車種のカタチ(しかも半分)や存在価値を分かる奴(バカ)はとても限られている訳で、不思議な磁力に引き寄せられたとしか思えません!!!場所は明かせませんが公的な施設なので保存環境としては比較的良さそうです。

 あ、気になるエンジンは残念な事に残っていないそうです。昔、売ってしまったのだそう(笑)
 ああ、21世紀にもなって、小松T25と三菱TA25の両方を見た人間は、私くらいではないでしょうか。エッヘン!

2005.5.29

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