制作日記 PA-2 ZELVA
 ボディ形状確認2001年2/3
 一般的にデジカメのレンズは広角気味なので、それで模型を撮影するとパースがついて迫力ある画像に仕上がります。これが結構本物の写真に近い雰囲気なので、こうして実車写真と並べると良い情報となります。

 実は、寸法通りの図面も立体も、妙に胴体が細長くて、多少の不安はあったのですが、こうしてレンズを通して見ると実車写真同様にズングリしてて安心します。 「レンズを通さなくても実車写真に似ている」という本当の意味での「ディフォルメ」は高度な造形センスを要求されるので行っていません。
 やっぱりタイヤの自作は難しい10/19
 トレッドパターンをシリコンで反転し、ポリカーボネート用のタミヤスプレーを何回も吹き、シート状にした物を作りました。これを巻き付ける予定。

 ここまで来たのですが、レジンで型取りしたタイヤの径が少し足りない事に気がつきました。円形部品は収縮した場合、結構「ボリューム感」で判ってしまうので寸法以上に見た目の影響があります。原型時点で既に小さいと最終的には更に収縮するのでヤバイです。

 また、モールドを0.4ミリで処理したのも、今見るとちょっと不満。作り直すのか?
 タイヤパターン。9/27
 おお、テストしてみたら感動の出来!。左側が3Dデータの画像、右がモデラで削った物。 幅は5.5ミリしかありません。立体の方は余白が付くのでちょっと大きいですけどね。こうやって作ったパターンをどうにかしてシート状にコピー、タイヤに巻き付ける予定です。

 実はミゾ部分はデータ上では僅か0.2ミリ幅しか有りません。0.2ミリのエンドミルで切削すればデータと同じ感じの仕上がりになるのですが、あいにく0.4ミリしか持っていないので、ミゾは太くなりますがそれで削りました。(モデラの設定は0.2ミリにしておき、実際は0.4ミリのエンドミルを装着して騙します。設定を0.2ミリより大きくしてしまうと0.2ミリのミゾは削れないと判断され無視されてしまいます。)

 径の細いエンドミルは刃も短く、深く掘れない欠点が有ります。小は大を兼ねないのです。仮に高価な0.2ミリのエンドミルをこの為に買ったとしても、モールドが浅くて返って実感が出ない可能性があります。こっちの方が良いのかな。
 タイヤ・ホイール9/22
 ボディだけ先行しすぎると後で形状的な破綻を起こしかねないので、フェンダーやタイヤも作り始めてます。「デッサンから始めて、細部へ進む。」という流れはスクラッチでは常に意識したい物です。今回は事前に3Dデータでの検討が有ったので迷わずに突き進んでいますけど・・・。 実はフェンダー(のパーツ分割)が今回の「3大頭痛のタネ」の一つだったりします。今回はちょっと現実逃避的にタイヤ・ホイールを見て欲しいです。

 右の大きいのがカメ装甲車のホイール。余白が付いて見辛いし、まだ4割ほどの出来ですが今はこんな感じ。旋盤を持って無いのでプロクソンのモーターツールを使ってミリプットを回転させ削っていますが、ミリプットが堅すぎて大変な時間を費やしました。この作業に合った素材を未だに見つけられません。 普通に作業したのではとんでもなく屑が舞うので、水に濡らしたティッシュを当てて湿らせながら作業しています。まぁ、遠心力で屑を含んだ水が飛び散る大きな難点はあるのですが、空気自体はクリーンなので、私同様喉の弱い人にはお勧め。

 上の小さいのは、フィアット500トポリーノ用。左のはタトラT-72(OA.vz30)装甲車用。両方とも以前作った物です。小さい乗用車と小さいトラックが相手とはいえ、今回の装甲車のデカさが一目瞭然ですね。
 原型らしく・・・9/19
 取りあえずパテで表面を綺麗にし、ちょっと形を修正したりしています。また、フリーハンドではありますが、パネルラインをシャープペンで入れて形状確認します。このようにつかみ所のない曲面構成の場合、実車のパネルラインは形を知る上で貴重な情報となります。

 問題は、左右中心線にラインが有ること。特に今回、車体を前後で合わせる為、少しでもずれたり歪んだりしただけで判ってしまいます。本来、複雑な曲面に直線を引くだけで大変なのに・・・。
 この作業の手順としては、まず底に基準面となる水平な板を付け、そこに中心線を引きます。次に、底の基準面が垂直になるよう90度倒し、さらに中心線が水平となる位置で(どうにか)固定し、トースカンで水平線をスジ堀りします。これら作業はデリケートな作業なのですが、直角を出すスコヤ、水平線引くトースカン、といった必須工具が現在行方不明で困ってます。
 見えてきました。9/17
 安シリコンを丸々1缶(1キロ)使って簡単な型を作り、レジンで複製しました。このシリコン型はもうお役目御免です。勿体ない!。

 今まで前(あるいは後ろ)半分とか、右(あるいは左)半分とかだったので、全体が見れるようになって完成に一気に近づいた気分です。今後これの半分だけディテールを付けて、さらに又型取りして本当の原型になる予定です。最終的にはボディ一体で抜く予定なので、左右分割の型では問題にならなかったホイールハウス部分は切り取る事になりそう。分割を考えるのって結構難しい。
 裏!9/16
 いらない余白を削り取った後、内身を彫刻刀でセッセとくり抜きました。(つまらない写真ですが)非常に疲れる作業だったので見て欲しかったんです。

 モーターツールを使えば速かったかも知れませんが、切削時の熱が変形を呼ぶ可能性もあるし、うっかり削りすぎて貫通する可能性もあるので使いませんでした。
 
 コレを型取りしてレジンに置き換えてディテール作業に入ります。その際、ムクだとレジンの収縮が大きくて変形するので肉抜きしました。でも逆に、作業するときは薄肉の方が変形しやすいので、型取り後に何かアンコを詰める予定。なんか二度手間です。
 コレで本当に装甲車?!9/14
 ・・・の思いを新たにするのであった。

 ちゃんと反転した形でコピー出来ました。さすがにコレだけ大きいと機械的な誤差は(相対的に小さくなるので)無視できる範囲。工具の逃げを作るために付けた勾配が余計な出っ張りとして残っているのでピタリと合わせる事が出来ませんが、こうしてみるとナカナカ感動的であります。2つを前後で合わせたり、左右で合わせたり・・・ああ嬉しい!
 重〜いデータ。9/7
 ピクザで20時間程かけてスキャンしました。最終的に必要となるメモリの量が想像つかないので、現在192MBのPCでは怖くて他のアプリケーションが使えないのがモデラと違うところです。スキャン範囲を指定した後「メモリが不足する可能性が有ります。」なんて脅かしてくるし・・・。

 今回はスキャン範囲が95x65ミリと大きい割に、X、Yとも0,2ミリピッチで読み込んだので、かなり正確に読み込めました。ただ、3Dソフトの(一応)互換ファイルであるDXF形式で書き出すと26,9MBになり、3Dソフト(それ自体重い)で開いても殆ど作業は出来ないのでした。ただ、モデラで使えるPIX形式で1.30MB、ネット用の圧縮ファイルのVRMLで5,87MBです。直接モデラで使うならサクサク使えますね。

 ピクザがどうやって形状を読み取るかは、私自身買うまでピンと来なかった(今だにピンと来ないところもある)ので、いつか説明したほうが良いかな。
 見てみてみて。9/6
 基本形は出来ました。変な余白が付いていて見辛いとは思いますが・・・。

 結局データを直し、逆向きで出力して見ました。出来上がった物を実車写真と見比べてより正確な形になるよう整形しました。モデリングワックスは削りやすいのですがパテ等は剥がれてしまって盛る事が出来ません。当初は一端レジンに置き換えて作業する予定でしたが、メルトガン(ホットボンド)を買って切削粉を詰めて見たところ使えたので、このまま作業する事にしました。ホワイトメタルにハンダを盛る感覚で母材を溶かしながら盛りつけて行くと上手くいきました。

 これを1次原型として「ピクザ」でスキャンします。そのデータを反転して切削する予定。 今回と同じデータを反転使用すれば良いじゃないかと思われるかもしれませんが、PC上で作ったデータはあくまでも「ラフ原型」で、この裸眼で見て手で修正した物こそが原型です。
 陸亀装甲車ボディの1/4。
 天辺のドームが欠けてる。
 24時間の大失敗。9/4
 前回、モデラは「予期せぬ失敗を犯す場合が多い」と、小さいサイズで出力テストしました。その結果大丈夫と判断して本番を開始したのですが・・・。小さいサイズでは問題とならない部分での問題がりました。ザ・本末転倒!

 今回使用しているモデリングワックスは、モデラ用に切り売りされている物では大きい方で、実際、長さを鋸で切って短くし、厚みを「面だし加工」で薄くして使用している程です。しかし、写真で見て上下方向に当たる高さ方向だけは1/35のPA2にはギリギリでした。データ作成時に車体下部に当たる部分に刃の逃げとなる出っ張りを設けて、大きくなっていたのもマズかったです。

 実は、切削前に、はみ出すサイズであるのは分かっていました。上下を逆さに出力する事で車体下部の不必要な出っ張りが切れ、必要な部分が残る予定だったのです。ところが実際は逆に車体下部が残り天辺が切れてしまいました。実はモデラはデータがどの方向を向いているか分かり辛いところがあって、今回の様に上下逆にしたい場合は注意を要するのです。

 24時間以上削り続けてこれじゃ・・・。事前のセッティングは1時間位かけて慎重にしよう。
 テストピース。8/30
  kヘック用「陸亀装甲車」の3Dデータを、1/76サイズで出力してみました。3Dプロッタ「モデラ」は切削に時間がかかる上、予期せぬ失敗を犯す場合が多いので、小さいサイズで1度出力しておくと(短時間で結果を見れて)良いと思います。

 やはり、3Dデータをモニター上で見たのと、実際に立体にしたのでは見た目が違いました。モニター上では、線で表示された形を立体として認識するのですが、実際の立体では、線と線の間を結んだ平面を出力するので、本来意図したラインは凸凹の凸、つまり「峰」部分にしかなく、平面はそれより内側を通る事になるので・・・(説明下手ですんません。)・・・今回の場合ボリュームが不足した感じになりました。カクカクした表面を丸く仕上げる為に凸部分を手で削るのは簡単ですが、その凸部分こそが本来意図したラインなので、正確を期すなら一度全体にパテを盛って凸部分が現れるギリギリのところまで削り出す。という面倒極まりない作業を必要とします。・・・極限まで細かいポリゴンデータを作らねば後で楽できません! 以上、何言ってるんだか解らないと思いますが・・・これが本当のひとり言(笑)。

 一応モデラ・ユーザー向けデータを。範囲幅約88ミリ、深さ14ミリ。3ミリストレートエンドミル。モデリングワックス(青)使用。切削速度はモデリングワックス用のデフォルト値。高精細XY切削で10時間程度。問題無かった。
 PA−2 開始!
 2000年8月27日、K-heckニュースで次期アイテム発表。その後、「ひとり言」コーナーで制作状況を報告して来ました。しかし、これは「制作日記」として別にまとめる方が良いだろうと考え、10月1日にコーナーを独立しました。

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