虹色ダイヤモンド

2010年7月11日(日)

nishizaki

日食日和
morning 前夜は雨に加え夜中に強風が吹き荒れ、これはだめかなとあきらめかけていましたが、その雨が深夜に止み、強風が雲を吹き飛ばしてくれました。
朝起きて見上げると、きれいな青空。 見られる確率は五分五分と言われていたことを思うと、日食には十分の天気になってくれました。
telescope 観測場所は初日に候補にしていたアフ・アカプ。 モアイの横顔を見ながら準備を進めます。

部分着々
partial 12時40分過ぎに部分日食開始。
食が進むにつれて雲が減り、皆既に向けて 風はやや強めで雲の移動が早く、太陽に雲がかかってもすぐに去っていきます。 仮に雲がかかても、皆既時間が4分半ほどあるので、待っていれば間違いなく見られそう。

TVの裏側
tv 予想通りこの場所は穴場で人が少なかったのですが、モアイの裏側の岩場でTV局が日食と伝統的な踊りを組み合わせた映像の撮影を始めました。
撮影が始まったと思うとすぐに止まり、構図を変えてまた撮影と明らかにTV用の演出。
撮影の合間にダンサーがこの格好のまま、日食メガネを使って部分日食を見ていたのはなかなか面白い光景でした。
焚き火を始めたので煙がじゃまにならないか心配でしたが、風が強いため横に流されていたので問題なし。

食前ピンホール
pinhole おなじみピンホールによる部分日食。
皆既後の楽しみとして行なうことが多いのですが、今回は飛行機の時刻の関係で皆既後にあまり余裕がないので、皆既前にやってみました。
クラッカーは購入したものではなく、サンチアゴで休憩に使ったホテルの朝食に出ていたものをもらってきました。
土産物は穴が大きすぎてあまりいい像になりません。

闇に包まれるモアイ
moai-sky 皆既10分前でも雲は増えることなく、風上に大きな雲はありません。
このまま皆既が見られるのは確実。
モアイの表情は見えなくなり、横顔のシルエットだけが浮かびあがっています。

南の島の皆既
皆既前になると雲はさらに減り、完全な状態で皆既食へ突入。
昨年のトカラでは雲の向こうだったので、ダイヤモンドリングもコロナもプロミネンスも2年ぶりの対面です。
南の島の皆既日食はハワイ島、トカラの中之島と2度とも見られなかったのですが、3度目の正直でようやく達成。

total1 total2
total3 total4

モアイを包む影
今回の皆既は継続時間が約4分半と長いのですが、空は思ったより暗くならず明るさを保っていました。
太陽は赤道より北側にあります。 南半球なので画面の中央がだいたい北、左が西、右が東です。
月の影は西側からモアイを覆い、東側へ移動していきました。

total-wide

手製スイングパノラマ
地平線・水平線に沿って1周した画像を合成して360度パノラマにしてみました。
空が明るいため、地平線・水平線近くのオレンジ色もやや薄め。
皆既の後半で西側の水平線が明るくなりかけています。

panorama

QuickTime ダウンロード
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皆既日食ムービー
easter-total 望遠鏡にデジタルカメラを付けて撮影した動画。1分が1秒になるよう早回しでます。
太陽が移動していますが、移動する太陽の追尾が完全ではなく少しズレてしまったためで、実際の動きとは違います。
皆既の終盤に薄雲がかかってしまいましたが、そのおかげで露出オーバーだった内部コロナやプロミネンスに露出が合っています。

虹色ダイヤモンド
corona 薄雲がかかったまま皆既食が終了。
ダイヤモンドリングの輝きが少し弱まってしまいました。
ところがその雲のおかげで、ダイヤモンドを中心に同心円状の虹が何重にも取り囲むという現象を目にすることができました。
初めて見たためとても驚きましたが、調べてみるとこれは光の回折によってできる「光環」という現象にあたるようです。 英語で「CORONA」と呼ぶそうですが、もちろん本来のコロナとは違います。
一般に見られる光環は太陽や月の周りでぼうっとした輪になるのですが、この時の輪はとてもくっきりしていました。
光源となった太陽がほぼ点だったためでしょう。 ダイヤモンドリングでなければ見られない、とても珍しい光景を見ていたことになります。
この写真には一番内側の輪しか写っていませんが、記憶にはダイヤモンドを中心とした虹の同心円がしっかりと刻まれています。

薄雲シャドウバンド
shadow-band 帰国後、Webや天文雑誌などでシャドウバンドが写っていたという報告が出てきました。
シャドウバントとは太陽が隠れる直前と出てきた直後、太陽がダイヤモンドリングかそれより少し大目に出ているときに、細い筋のような影が見える現象で、よくプールの底でゆらゆら揺れて見える影にたとえられています。 シャドウバンドができる原因は地球大気の揺らぎやムラと考えられています。
通常は地面や白っぽい壁などの地表で見えるのですが、今回は太陽にかかった薄雲にシャドウバンドが半透明のスクリーンになり、裏側から見えたというものです。

今回見ていた場所では第3接触時に薄雲がかかっていたので、撮影した写真を調べてみると、たしかにシャドウバンドと思われる影が写っていました。
画面の上から下、わずかに傾いた筋がシャドウバンドです。 影の方向は太陽の移動方向と垂直になっていること、よく見ると影は上から下まで1本ではなくとぎれとぎれになっていること、それらの傾きが微妙に異なることなどがわかります。

シャドウバンドムービー
easter-shadow-band シャドウバンドの動画です。 ファイルサイズを小さくするため画面を縮小していますが、画面の左から右、ダイヤモンドの前を横切るように、細い影がゆらゆらと揺らぎながら移動しているのがわかると思います。 太陽は画面の右から左へ移動(実際は月が左から右へ移動)しているので、それとは逆方向。
懐中電灯で物体を照らすと影ができますが、懐中電灯を右から左に動かすと、影は逆に左から右に動くのと似たようなイメージでしょう。


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