ルックルック ルクソール

2006年3月26日(日) ルクソール

donkey


夜が明けても乗り継ぎ
domestic エジプトの初日はルクソール見学のオプショナルツアー。 カイロから国内線の飛行機に乗って移動します。
当初はカイロ空港到着後にホテルに寄ってから改めて出発する予定でしたが、空港とホテルを往復すると時間がなくなるということで、そのまま乗り継ぐことになりました。 飛行機移動の旅はまだまだ続き、きちんとエジプトの地を踏むことがなかなかできません。
国際線から国内線のターミナルへ移動。 深夜なので何もする事がなく、出発までの3時間ひたすらロビーで待機します。

egypt-air 夜明けが近くなると少しずつ動きが出てきて、イスラム礼拝が始まり、飲み物の売店が開き、直行便で先に到着していたグループと一緒に朝食が届きました。
夜明けとともにルクソール行きの飛行機が出発。

エジプト観光スタート
luxor-road 1時間ほどで世界遺産だらけのルクソールへ到着。
ルクソールは古代エジプトの都があった場所で、「古代都市テーベとその墓地遺跡」として世界遺産に指定されています。

ナイル川を挟んで二つに分かれ、日が昇る東岸には神殿などが、日が沈む西岸には墓や葬祭殿などがあります。 とにかくものすごい数なので遺跡を全て見ることは不可能。典型的な1日観光コースを回ります。
空港からバスに乗り込み、窓からルクソールの様子を眺めながら、西岸の遺跡めぐりから スタート。

メムノンの巨像
memnon 西岸遺跡の入り口にある、高さ20mほどの2体の巨像。 顔が破壊され、かなり痛々しい姿です。
もともとは大きな葬祭殿の前に建てられていたものだったそうですが、葬祭殿はなくなってしまい、今は像だけが残されています。 像の背後では遺跡の発掘が行なわれていました。
メムノンとはギリシャ叙事詩に登場する名で、古代エジプトとは関係ありません。 地震によって像に生じた亀裂が1日の温度変化によってきしむ音を伝説と結びつけて、こう呼ばれるようになったとのこと。 像は後に修復されて音がしなくなりましたが、呼び名はそのまま使われています。

王家の谷
valley1 草も生えないような荒れた谷に、たくさんのエジプト王家の墓が集まっています。 墓は最近新たに発見されたものを含めて60以上あるそうです。
駐車場から谷の入り口までは多少離れているため、エジプト王家の雰囲気が全く無い遊園地のようなトラムに乗って移動。

三千年プリント
valley2 ピラミッドより後の時代に、盗掘を避けるため目立たないようにここへ墓を作ったので、外から谷を見渡しているだけではあまり面白みはありません。 一番高い三角の山がピラミッドっぽく見えるのが唯一のアクセント。
屋根があるのは小さな休憩所だけなので、夏に来たら厳しい暑さに耐えなければならないでしょう。

墓は一部が公開されており、チケット1枚で公開されている墓のうち3つを選んで見学できるという仕組み。1つ目は全員で、残り2つはガイドさんのお勧めを参考にして入ってみました。
内部の撮影は禁止なので写真では紹介できません。どの墓も部屋の壁にびっしりと壁画や象形文字が掘られ、描かれています。通路に絵がある墓とない墓がありましたが、違いは時代によるものだそうです。 どれも3000年も経ったとは思えないほど彩色が鮮やかに残っていました。一部ガラスで覆われたところもありますが、剥き出しままのものも多く、長年密閉保存されていたところに大量の観光客を入れてしまって保存は大丈夫なのかと心配になります。
でも乾燥したこの地は壁画には天国のようなものなので、ボロボロで消滅寸前になっている日本の古墳の壁画のような心配はないのかもしれません。

ツタンカーメン王の墓
tutankhamen 有名なツタンカーメン王の墓は別料金。
王家の谷で唯一泥棒に荒らされなかったため、発見時にミイラや数々の副葬品が残っていたことで極めて価値が高い墓。
王が短命だったため墓を作る時間がなかったそうで、他の王の墓より通路がとても短く、壁画も少なく、極端に小さな墓だというのが実際に入ってみるとよくわかります。

内部にあった物はほとんどが博物館に移されているため、その価値を無視して現在の状態だけを見ると、他より見栄えのしない入場料が割高な墓にしか見えません。
中に唯一残された石棺の中には人形棺が、その中には王のミイラが安置されています。

ハトシェプスト女王葬祭殿
hatshepsut1 ファラオの中の唯一の女王だったハトシェプストが建てたもの。ガイドさんは、ハトシェプストが日本人には発音しにくいということで、これ以降は全て「ハトちゃん」と呼んで説明していました。
1997年に銃撃事件があったところ。それが平和の象徴のハトとは皮肉なものですが、エジプトではハトは食用なので平和も何も関係ないかもしれません。
荒々しい崖を背景にして造られた建物で、遠目からは3階建ての均整の取れた美しい建物。近づくと意外に奥行きがあり、像や柱や壁のレリーフなど見どころが満載。

hatshepsut2 ハトちゃんは夫のトトメスII世の死後、最初は幼いトトメスIII世の摂政役として、その後自ら王として国政を行なったそうです。 現在のソマリアあたりとさかんに交易した様子など、エジプトっぽっくない対象もレリーフに掘られているのが面白く感じます。

ハトちゃんの死後、ようやく王として表舞台に出られたトトメスIII世が、ハトちゃんのレリーフや名前を削り取ったため、その痕跡も生々しく残されています。 もっともここにあるのはレプリカで、本物は博物館にあるとのこと。

エジプトはナイルの賜物
nile ルクソール西岸の見学を終えて、ナイル川が見える食堂で昼食。 優雅なナイル川クルーズの豪華遊覧船や、のん気に競争しているボートなどが見えます。

川の長さは測り方によって数字が変わりますが、ナイル川とアマゾン川が1番を争っているのは間違いなさそう。
まだエジプトに半日いただけですが、カラカラに乾いた遺跡を見ると、古代も現代もナイルがいかに重要な川なのかということを実感できます。

カルナック神殿
karnak1 古代エジプト最大の神殿。
代々の王が増築に増築を重ね、また内部に複数の神殿があり、全体として巨大な神殿になったものだそうです。入り口に並ぶスフィンクスは頭が羊。 入り口の塔門を抜けると、以前の入り口だった次の塔門が現れるという多重構造にもなっているので、先に進むたびに次は何が出てくるのかというワクワク感もあります。

karnak2 数々の巨像や、壁画、オベリスクがあり、それらの間を入り乱れる人の数と、洪水のように押し寄せるガイドさんの説明にも圧倒されます。
オベリスクに刻まれたハトちゃんの名前がここでもトトメスIII世によって削り取られているとか、歴史的に意味深い遺跡も数多くあったのですが、エジプト王家の予備知識があまりなかったため、数千年前からの歴史を見たまま感じたままに楽しむことにしました。

karnak3 圧巻は100を超える石柱が立ち並ぶ大列柱室。 林立する石柱の全てにレリーフが彫られています。
日陰になる部分のレリーフにはまだ塗られた色が残っていました。 造られた当時に戻って、極彩色の柱が並んでいる光景を見てみたいものです。

ルクソール神殿
luxor1 カルナック神殿から3kmほど離れたところにあります。 二つはスフィンクスの並ぶ参道で結ばれていたそうで、現在は一部が残っているだけ。
入り口に1本のオベリスクが立っています。 もともと左右2本だったものが、1本はパリのコンコルド広場に持っていかれてしまったとか。

luxor2 規模はカルナック神殿より小さいものの、見ごたえのある巨像や数々の興味深いレリーフなどを見られます。 カルナック神殿よりも整ったものが多いかなという印象でした。

luxor3 内部にイスラム寺院があったり、キリストの最後の晩餐の壁画があったりと、異種の宗教が複合しているのも面白いところです。

前半ハイライト終了
luxor4 見学中に日が暮れて、神殿がライトアップされました。
古代エジプトに触れる1日はこれで終了です。
この後、夕食を取り、飛行機でカイロへ戻り、初めてホテルで横になったのは深夜になってから。 成田を出てから40時間ほど経っていました。


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