虹を架ける滝

2003年5月30日(金) ミーヴァトン-チョルネース半島

swan


明るい夜
morning1 金環日食前日。
観測候補地で同時刻に観測地の下見をするため、午前2時過ぎに起床。
こんな時刻なのにもう日の出の直前で、地平線から今にも太陽が出てきそうです。

下見は良好
preview 今回の金環日食は日の出直後に起こります。
アイスランド島内どこでも見られるのですが、太陽の高度がなるべく高く、低い高度に障害物がない場所が条件は良くなります。

観測候補地はミヴァートンから車で1時間ほど離れた、チョルネース半島の北海岸。
崖と道路があるだけの、文字通り何もない場所です。
崖の上のため強風が心配でしたが、三脚が揺れるほどではなくあまり影響はなさそうです。

金環日食と同時刻の太陽は水平線のわずかに上で、高度は約4度。
この時は快晴に近かったので太陽がきれいに見えていましたが、雲に隠される確率はかなり高そうです。

エキサイティングな湖
myvatn2 下見が終わりホテルに戻り、あらためて観光開始。

ミーヴァトンは溶岩が川をせき止めてできた湖で、周辺にエキサイティングなは面白い形をした岩がたくさん見られます。
湖の近くには前日の訪れた地獄谷などの地熱活動が活発な場所がたくさんあり、真冬でも凍結しないそうです。
水深は2mしかなく、そのため通常の湖にはない面白い特徴が満載。

湖底の宝石
spherical-moss この湖には、日本の阿寒湖を遥かに上回る世界最大のマリモ生息地があるそうです。
ホテルのレストランに置かれた水槽で、直径10cm以上のマリモを見ることができました。

湖岸のバブル崩壊
skutustadagigar 月面のクレーターのような地形「擬似クレーター」。
これは火山の噴火口ではなく、湿った土地に流れ込んだ溶岩流の熱で水が爆発してできたものだということです。
内部まで草に覆われていることからも、火口とは違うことがわかります。

本物クレーター
crater こちらは本物の噴火口。
巨大なクレーターで、直径は1kmを越えているそうです。
縁の内部が凹んでいるのが外から見てもわかります。 擬似とは違い、山全体がむき出しの岩。

蚊の湖
mosquito 湖が浅く暖かいとなれば、虫が住むには格好の環境。
ミーヴァトンとは「蚊の湖」という意味で、実際そこらじゅうに飛びまわっていました。
時にはまるで竜巻のような巨大な蚊柱が立つそうです。

正確にはユスリカのようで人は刺さないようですが、じっとしていると容赦なく顔や体に止まるので閉口しました。

水鳥天国
duck それだけ多くのユスリカがいれば、それを餌にしている鳥もやってきます。
特にカモ類が多く見られます。

欧州No.1
dettifoss1 この日のメインはミーヴァトンから車で1時間ほど離れたところにあるデティフォスの滝。 名前の意味は「落下する滝」。
玄武岩の柱状摂理が顕著に見える渓谷に、まるで洪水のような大量の水が激しく豪快に落ちています。
イグアスやビクトリアの規模にはかないませんが、前日見たゴーザフォス同様に滝の近くには柵やロープが無いため、間際まで近づいて滝の勢いを感じることができます。

dettifoss2この滝の水源は、ヨーロッパで最も大きいヴァトナ氷河。 そこから流れ出た水が作り出したこの滝の水量もまたヨーロッパで1番だそうです。
谷底へ落ちた水は滝の前方に大きく広がる水煙となり、そこへ太陽光が当たり鮮やかな虹が見えていました。

馬蹄渓谷
asbyrgis1 まるで城壁のような垂直な岩の壁が続くアゥスビルギ渓谷。
通常の谷は川が徐々に下の地面を削るので断面が "V" 字型に、フィヨルドは氷河が下と横の地面を削るので断面が "U" 字型になります。
ところがここは壁が地面が直角に接し、断面は "凵" 字型。 そして二つの壁の間にやはり垂直の中州のような地形があり、上から見ると全体が馬蹄形の谷になっています。

説明図を見ると、ここは大昔は二股に分かれた浅い川が流れていたところ。
ある時、上流の氷河の下で火山が爆発し、溶けた氷が破滅的な大洪水となって川底を一気に削り取ったため、このようにシャープな地形が残ったということです。

asbyrgis2 奥の弧状の壁から水がわずかに流れ、その下に水が溜まって沼ができていますが、谷から流れ出る川は無いようです。

谷の中には多くの木が茂り、まるで高原の白樺林のような光景。 荒涼とした外部とは別世界の不思議な空間になっています。 岩の壁が風避けになっているためでしょうか?
岩の壁には多くの鳥の巣があり、気持ちよさそうに飛び回っていました。


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