地上の金環

2003年6月1日(日)

horse


ゴールデンサークルへ
reykjavik2 アイスランド最終日。
ツアー参加15名のうち、短期コースの4名がこの日の早朝に帰国。 私も本来は短期コースなのですが、1日延長してもらい長期コースに混じって最後のアイスランド観光です。

当初の予定では最大の氷河ヴァトナヨークトルの観光だったのですが、地元飛行機会社の倒産により直前にボツ。 定番の「ゴールデンサークル」巡りに変更されました。
レイキャビックの東側にアイスランドの魅力が集中している地域があり、「ゴールデンサークル」と呼んで観光の目玉にしています。
前回アイスランドに来た時に一通り回りましたが、今回は夏なのでまた違った光景が見られるはずです。
空の金環日食を見た後に地上の「金環」を観光できるという偶然。

緑の火口
kerid 手始めはケリズ火口湖。
前回の冬は火口の内部も外部も荒々しい岩ばかりでしたが、今は岩が緑に覆われています。
暗い紺色に凍っていた氷は溶け、これまた緑色の湖となっていました。

黄金の滝
gullfoss1 ゴールデンサークル観光の目玉、グトルフォスの滝。 「黄金の滝」の意味で、ゴールデンサークルの名称の元になっています。
1段目は小さな滝が並んで全体として幅広の滝に、そこから川が直角に折れ、2段目は全体がV字谷に落ち込むという複雑な形をしています。

gullfoss2 水量No.1のデティフォスの水煙は滝の前方に広がりますが、グトルフォスはV字谷から上に噴き上げるので、滝がかすんで見えます。
前回訪れたのは冬で周囲が凍りついていましたが、夏は水煙に濡れた岩や草むらに囲まれ、まるで別の場所のように見えました。

アイスランド温暖化
langjokull ゴールデンサークルから奥に入ったところにある氷河ラングヨークトル。
アイスランドでは2番目の大きさで、レイキャビックからアークレイリへ向かう飛行機から真っ白に広がる大きな平原が見えていました。

地上からは未舗装の砂利道を通って、氷河末端の観望ポイントに到着。
ここから見渡す限り真っ白な氷の平原が広がる、とはいかず、道路の近くは地面がむき出しになっていました。 地球温暖化のため氷河が急激に後退し、砂漠化が進んでいるのだそうです。
冬の間はこの辺りも雪で覆われていたのでしょうが、今はスノーモービルも出番を失っています。

一見すると大きめの雪渓程度にしか感じられませんが、断面を見ると上部は雪、下部は氷の2層になっているので、単なる残雪ではないことはわかります。 遠くの山は間違いなく氷河で覆われているのがわかり、アークレイリへ向かう飛行機からは大きな氷河を上から見ているので、氷河なのは間違いないところ。
周りの地面は石がゴロゴロして一見すると硬そうな川原のように見えますが、その下の土はグチャグチャ。 石に乗ると石ごと沈んでいきますし、石の少ない部分に乗ると靴が潜ってしまいます。 石が表面にしかないということは、もともとここが岩場だったわけではなく、石や砂利が氷河の上流から運ばれ、この場所に溜まったものなのかもしれません。
雪解け水が流れ出し川となっている様子があちこちに見えます。 ここはグトルフォスの水源になっているので、滝が豪快になるのなら悪くないとも思ってしまいました。

登る水蒸気
geysir ゲイシール間欠泉地域。
元々熱い場所ですから、ここは夏も冬も風景はそんなに変わりませんでした。 ただしさすがに人の数は大きく違います。
現在活発な「ストロックル」間欠泉は、前回来た時に勝るとも劣らない活発さで、3分から5分ぐらいの間隔で水蒸気を勢い良く噴き上げていました。
古株の「ゲイシール」も不定期ながら、短時間の間に2度の噴き上げに遭遇。
地上の気温差など微々たる物ですが、なんとなく冬より夏の方が勢いがいいように感じてしまいました。

真・黄金の滝
gullfoss3 最後にもう一度、グトルフォスへ。
V字谷から上がった水煙に太陽光が当たると滝に虹がかかることが「黄金の滝」の由来。
前回は太陽が低くて滝に太陽の光が当たらなかったので虹は全く見えませんでした。
この日の午前中に寄った時点では太陽の向きが悪く虹は見られなかったので、太陽の向きが変わった午後に虹を見るためもう一度寄ってもらいました。

目論見通り太陽を背にして、3度目の正直で滝の前の虹を見ることができました。
しかしこの写真を撮った直後、太陽が雲に隠れて虹は消えてしまいました。 金環日食は雲があっても見えますが、黄金の滝は完全な晴れ間が必要。
2度のアイスランド旅行で1枚だけ撮れた、貴重な写真になりました。

大陸横断
thingvellir3 ゴールデンサークル観光の締めくくりはバスの車窓から。
レイキャビックへの帰路の途中、前日訪れたシングベトリルをヨーロッパ側からアメリカ側へ横断するコースを通りました。
大地の割れ目ギャオは、ヨーロッパ側に比べアメリカ側が浅いのですが、地表を覆った植物の緑によって立体的に見えます。
ヨーロッパ側のギャオから落ちる滝は、冬には凍っていましたが、今は水が流れています。

冬のアイスランドは荒々しさで生きている地球を感じられましたが、水や緑が豊かな夏は別の意味で大自然の大きさが感じられました。
天文現象は別にして、また違った季節に来てみたい島です。。


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