2005年4月8日(木) ペドレガル
日食は午後から。
午前中は特にすることがないので、近くの商店街や公園を見物したり、住宅街を散歩して植物を眺めたりして時間をつぶします。
他の人も三脚だけだったり、赤道儀であってもセッティングが大まかだったりで、すぐに準備が終わりました。
そのうちに近所の子供たちが集まってきました。
望遠鏡の前方に行かないように警備の人にお願いしていたので、皆すぐ後ろではしゃいでいます。
日本語とスペイン語では言葉は通じませんが、日食メガネで交流を図るなどして子供たちに「アリガト」を広めることに成功。
食が進行するにつれて厚めの雲の面積が多くなり、金環食の30分ぐらい前からは全く見えない状態が続くようになってしまいました。
太陽より月がほんのわずかだけ小さいため、月の周囲の凸凹でとても細い太陽の弧が伸び、切れ切れのリングにつながりました。
糸のように細いというより、雲にカッターで円形の筋を入れて、そこから光が漏れているというような印象です。
計算上では金環食継続時間は13秒でしたが、輪らしく見えていたのは10秒もありません。
ビーズのように切れ切れの光が一歩の筋につながったと思った1, 2秒後には、もう反対側が切れ始めていました。
感動を味わう暇も無く、あっというまに金環日食が終了。
画面の下やや左から、上やや右へ向かって大きな影が動いているのがわかります。
中央上方の光が太陽ですが、この映像では明るすぎてつぶれてしまっています。
影の中心がさしかかり、光が一番小さくなった時が金環日食です。
金環終了後しばらくすると、太陽はまた雲に隠れてしまい、そのまま姿を見せることはありませんでした。
アイスランドに続き、またも雲を通しての金環日食。
細い金環ならと期待したプロミネンスやコロナなどは見られませんでしたが、切れ切れリングの光をそのまま肉眼で見られたことは、全く希望がないと思っていた天候状態を考えれば奇跡的と言えるかもしれません。