2005年4月6日(水) パナマシティ
パナマ国際空港に到着したら、今度は入国審査の列がなかなか進みません。
特別厳しいチェックをしているわけではなく、手際が悪く窓口も少ないというだけ。
1時間近くかかって全員が入国できたときに次の便が到着。
審査する側としてはピッタリのペース配分なのでしょうが、待たされる側はかないません。
パナマ全体の人口は300万人強。
空港周辺は木や野原ばかりでしたが、すぐに高層ビルが乱立する大都市に入りました。
首都のパナマシティーとその周辺を合わせて200万人ぐらい集まっているそうで、車も人も道に溢れています。
太平洋と大西洋の間には南北アメリカ大陸があり、海を航行する船が向こう側へ行くには北か南へ大回りしなければなりません。
南北の大陸を結ぶ細い中央アメリカを横切ることができれば楽に行き来できるというのは地図を見れば誰にも考え付くこと。
しかし実際に船を通す運河の建造は生易しいことではなく、19世紀半ばから手がけたフランスは資金不足や伝染病の蔓延で2度挫折し、後を引き継いだアメリカが1914年に完成させたそうです。
そのアメリカも、太平洋とカリブ海(大西洋)を突き抜ける水路を造ることはできませんでした。
まず海面から26m高い位置にガトゥン湖という人造湖をつくり、そこから海までを運河と他の人工湖で結びます。
船はガトゥン湖を峠越えしなければなりませんが、そのままでは運河が流れの速い川になってしまい都合がよくありません。
そこで運河の途中に水門で区切られた「閘門(こうもん)=LOCK」と呼ばれる区域をつくり、そこに船を浮かべたまま水面を進行方向側と同じになるように変化させ、水平航行だけで進行できる仕組み。
閘門の水を注入したり排出したりするわけではなく、水面より下に水の通り道を作ってやれば自然に水位が同じになります。
厳密には海やガトゥン湖の水位も変化しているのですが、規模が全く違うので閘門の水位だけが上下しているように見えます。
これだけの運河を成り立たせている水があるということは雨が多いわけで、日食と相反する土地とも言えてしまいそうです。
運河の原理は以前から知っていましたが、実際に見てみると想像していたより水位の変化が早く、それほど長くない見学時間でも十分に見ることができました。
運河は2本が平行していますが、特に上り下りでわけているわけではないそうです。
見学中はどちらも上流側から太平洋へ船が下っていました。
このミラフローレスには閘門が2段になっているので、合計4つの閘門があります。
手前上流側の閘門は、最初は上流の湖より水位が下になっていましたが、水位が上がり湖と同じ水位になり、そこへ次の船がタグボートに引かれて近づいてきました。
手前下流側の閘門では、山のようにコンテナを積んで軍艦のようになった船が通り抜けようとしています。
パナマ運河を通れる最大の船は長さ294.1m、幅33.53mの「パナマックスサイズ」。
前後は約5m、左右は約60cmの余裕しかありません。
コンテナ船を浮かべた閘門の水位が下がり、海と同じになったところで、前方の水門が開きました。
運河に沿って敷かれているレール上を走る気動車に引かれて巨大な船が進み出します。
最後は自力で航行し、無事に太平洋へ抜けることができました。
運河全体は80kmあり、合計で3回上がって3回下がらないと反対側へ抜けられないため、平均で8時間から10時間かかるそうです。