2001年6月18日(月) ケープ半島
ホテルをバスで出発する頃は、前夜からの雨は止んでいたものの雨雲は晴れず、テーブルマウンテンには雲がかかったまま。ライオンヘッドと呼ばれる三角形の山は、山頂付近にかかった雲により、まるで噴煙を上げた火山のような不気味な姿に変貌。不安感を増しています。
しばらくして、とうとう雨が降り出してしまいました。
雨の強弱は短時間で大きく変化し、まるで南国の雨のような降り方です。
ただし気温はだいぶ低め。
幸運なことに船の出港時刻間際になったところで雨が止み、濡れずに船に乗り込むことができました。
青空も一部見え、虹がかかっています。
ただし海は大荒れ。雨は止んだものの風が強く、波が大きくうねっています。
アザラシ見学の船はそれほど大きくはなく、激しく上下に揺れて立っていられません。
座っていてもどこかに掴まっていなければ放り出されそう。
そうしているうちに波の合間にちらちらと岩礁が見え初めました。
岩に何か黒いツブツブがくっついている、と思ったらそれがアザラシの群れ。
船がさらに岩の近くへ寄ると、不思議に揺れがかなりおさまってきたので、落ち着いてアザラシを眺めることができました。
多くのアザラシは岩の上でじっとして寝そべっていますが、海で優雅に泳いでいるアザラシもいます。
半島はケープタウンから続いている岩山が真中にあり、その両側はきつい傾斜のまま海に落ちていきます。 海沿いに平地はあまりなく、道路はずっと崖沿いを通っています。 道路から崖の中腹へ登るために個人用ケーブルカーを付けている家も多く見られました。
半島の南の先端が近づき、道路は自然保護地域へ入ります。
それまで見られた大きな木はなく、岩の地面に低い木と草が生えているだけ。
その間を歩き回る、野生のダチョウも見られました。
これがケープ半島本来の姿だそうです。
すっかり天気が良くなり、青い空に緑がかった海の色が鮮やかです。
朝方のどんよりした暗い空のかけらもなく、今後の旅行への期待が膨らみます。
灯台から北を向いて半島を振りかえると、左(西)が大西洋側、右(東)がインド洋側。
大西洋側は波が荒く、インド洋側は穏やかと説明されていましたが、東側は半島によって作られた湾だから穏やかだというのが正確なところでしょう。
これは南部アフリカのみに生息しているジャッカスペンギンという種類で、体長は約50cmぐらいとそれほど大きくはありません。
ペンギンは家族単位で砂浜に巣穴を掘っています。
そこで親鳥が卵を温めたり、ひな鳥にえさをやったりしている光景を間近で見られます。
巣の場所は砂浜だけとは限らず、砂浜のそばにある低い藪の中からもペンギンの鳴き声が聞こえていたので、そこにも多くの巣があるようです。
南アフリカ天文台へ着いてみると、一般向け見学はできるようになっているのですが、既に最終の時間が過ぎてしまっているとのこと。
そこでコプティック星座館が属している、清原光学の社長さんが交渉。
光学のプロということが効いたのかどうかわかりませんが、見学がOKになりました。
無理を言ったにもかかわわらず、説明係の方にはとても親切に応対していただきました。
この天文台はケープタウンの市街地のすぐそばにあるため、現在は実際の観測にはあまり使われていません。
大きな望遠鏡はケープタウンから車で4時間かかる山の上にあるそうです。
それでも、100年以上前に作られた60cm屈折望遠鏡ドームの昇降式床の素朴さと力強さに感激し、天王星の発見者として知られるあのウイリアム・ハーシェルが磨いたというお宝モノの金属反射鏡に驚き…
180年の歴史があるこの天文台には、興味深い施設や物がたくさん詰まっていました。
この日の観光めぐりはずっと他の日食ツアーの日本人と顔を合わせていたのですが、このとても充実した有意義なオプショナルツアーによって差別化できました。
もっともその夜はそれ以上星を見ることもなく、翌日の観光と移動に備えます。