2001年6月22日(金) ビクトリアフォールズ
日食が終わり、ハラレへ集まっていた大量の人々が一斉に動き出します。
空港への移動の途中で、奇石が並ぶバランシング・ロックを無理矢理見物。
ハラレ唯一の観光らしい観光になるはずだったのですが、日食優先のために伸び伸びになっていたものです。
まだ夜が明けず薄暗い中、短い時間で遠目に眺めるのみ。
ただ、どら焼きや饅頭のような形をした巨石を巨人が手で積み上げたような姿が、自然の力で作られたというのが見どころであり、朝焼けのシルエットでも一応それがわかったというのが不幸中の幸い。
ハラレ空港に到着し、ようやく夜が明けました。
ここからジンバブエの西の端、ビクトリアフォールズへ向かいます。
日食の前は天気などの気掛かりなことが頭のどこかに残っているため、どこかに引っ掛かりを感じながらの観光になります。
しかし日食が終わってしまえば気掛かりなことは何もなくなり、しかも「日食ハイ」な状態になるため、皆とても陽気。これからは思う存分アフリカを満喫できます。
1時間程飛行してビクトリアフォールズへ到着。
着陸の直前、雲一つない青空の中に地上付近からわいたような雲が見えました。
あれがビクトリアの滝の水煙でしょうか?
早く到着したおかげで時間にたっぷり余裕ができ、翌日に予定していたオプショナルツアーを繰り上げて実施。
まずはヘリコプターに乗ってビクトリアの滝を上空から眺めます。
フライトは約15分間。
動物を探すサファリコースが付いた30分のフライトもあるそうです。
ヘリコプターには操縦士の他に6人が搭乗。操縦席の隣に1人、後ろに5人座り、私は後部の真ん中でした。
後部は両側の窓が開いているので、ガラス越しではなく直接外を見て、カメラを向けることができます。
ヘリポートは滝から少し離れていますが、すぐに滝の上空へ達しました。
両側の席から均等に滝を見られるように、旋回方向が何度か変わります。
真ん中の席は窓から少し離れるためカメラの構図を決めるにはやや不利ですが、常にどちらかの側で滝を見られるという点では得をしていました。
大量の大量の水が谷に落ち、雲一つない快晴の青空に水煙を高く舞い上げています。
水煙にかかる虹は鮮やかで、機体に合わせて虹も移動します。
フライト中、機内はシャッター音は鳴りっぱなし。
動く絵葉書のような光景を目にして口々にすごいすごいを連発する様子は、皆既日食中といい勝負かもしれません。
ヘリコプターの次は気球。
ガスで浮かべるタイプで、地上と結ばれたワイヤーを戻したり巻いたりして高度を変えます。
皆が滝の側に寄ってしまうので、ゴンドラが常に傾いていました。
こちらもヘリコプターと同じ15分ほどでしたが、風もほとんどなく、ゆったりとした優雅な気持ちで滝を眺められ、とても贅沢な気分。
ここビクトリアフォールズで1泊します。
夕方からは当初の予定通り、ザンベジ川をボートで巡るサンセットクルーズ。
明るいうちは川の岸などにいる動物を探しながらのクルージングです。
しかし案内係の人は、私たちが見逃していた動物をちゃんと見つけ、ボートをバックして岸に寄せてくれます。
指さす先を見ると、ワニ、サル、トカゲ、小型の牛の仲間であるブッシュバックなどが確かにいます。
数秒前まで皆が同じところを見ていたはずなのに、誰も全く気づきません。
遊園地のアトラクションとは違い、どこに何がいるのかわからない状況で動物を見つける「プロの目」に感心するばかり。
太陽が地平線に近づき、もう動物は見られなくなりました。
ザンベジ川を赤く染めながら日が落ちていきます。
日が暮れたら、注目は川から空へ。前日に太陽を隠した月を探します。
日食から1日程経過しただけですが、太陽との位置関係はわかっているので、どこにいるかわからない動物を見つけるよりずっと簡単なはず。
空の赤さが少なくなり、低空まで暗くなり出した頃、ほぼ正確に太陽の側が細く光っている月が見つかりました。
意外に明るく光っていて、かなりの低空になっても見えています。
「プロの目」が見つけたと言うよりは、アフリカの空の透明度のおかげだったのかもしれません。