- 轟く水煙
ジンバブエの最終日。
いよいよビクトリアの滝を間近で見物です。
この滝は三大瀑布と呼ばれるうちの一つ。
瀑布とは幅の広い川に急に段差ができ、水が布のようになって落ちる横長の滝のこと。
日本は川の急激な傾斜によって細長い筋になって落ちる滝がほとんどで、このタイプの滝はあまりありません。
ビクトリアの滝の落差は最高で108mと大したことはありませんが、その幅は約1.7kmもあります。
イギリスの探検家リビングストンが欧州人として初めてこの滝の存在を知り、当時の女王の名前を取って "VICTORIA FALLS" と名付けました。
もちろん現地ではとっくの昔から知られていて、"MOSI OA TUNYA" (The Smoke that Thunders) 「轟く水煙」と呼ばれているそうです。
- ビクトリア瀑布
ゆっくり流れる幅広いザンベジ川と垂直に深く谷が切れ込み、谷の片側の辺の端から端まで川の水が瀑布となって谷底へ落ちていきます。
谷底へ落ちた水の大部分は川底を流れますが、一部は水煙となって空中に戻ってきます。
谷が狭いため水煙は広がらず、上へ上と昇り、時には滝の最上部を越えます。
水の量によって滝の姿は大きく変わり、雨季で水量が多い時期は滝自体の姿が見えなくなるほど滝全体が水煙で覆われてしまい、乾季で水量が少ない時期は部分的にしか瀑布にならないそうです。
今は雨季が終わり乾季になってしばらく経ったところで、川の水量は中ぐらい。
谷を挟んで瀑布と反対側に遊歩道が整備されています。
遊歩道の始まりは谷の端で、谷を縦に、瀑布を横から見るような位置。
しかし谷の中は水煙に阻まれて遠くまでは見えません。
谷に沿ってそこから先の遊歩道は谷に沿っているので、瀑布を正面から見ることになります。
向かって左側の半分程度までは水煙が谷の途中までしか上がっていないので、滝の上部はクリアに見られました。
なにしろ幅が広いので全体を見るのは不可能。
瀑布を細切れに見ながら撮りながら、頭の中でつなげていきます。
- 快晴の大嵐
遊歩道の半分を過ぎたあたりから、水煙が濃霧のようになり滝の上部を越え、滝の姿が見えなくなってきました。
それまでは遊歩道にしぶきがかかる程度だったのに、だんだんと霧雨のようになってカメラが気になり出しました。
さらに先へ進むともう霧どころではなく、完全に雨。
遊歩道の端が一番激しく、大粒の雨が激しく降っているような状態になりました。
滝の姿はほとんど見えません。
風向きによって一瞬雨が弱まり、滝の姿が見えることもありますが、すぐにまた豪雨が容赦無く降りかかってきます。
一応自分用とカメラ用の雨具を用意していましたが、しっかりと構図を決めるなどしていたらすきまから入った雨でカメラが壊れてしまいそう。
闇雲にシャッターを押して退散するしかありませんでした。
滝全体の規模はブラジル・アルゼンチン国境のイグアスの滝が上ですが、水煙の激しさはビクトリアの滝が上回っているという実感。
自然の美しさと力強さを体験する滝、といえるかもしれません。
- ビッグ・ビックリ・ビクトリア
ビクトリアの滝を後にして、"BIG TREE" と呼ばれる樹齢1500年というバオバブの木を見学。
幹が太い、と言うより何本もの木を集めて束ねたようになっています。
その幹に傷がついているのはゾウが削ったためだ、という話を聞いていたところ…
急いでバスに乗れとの指示。本当にゾウが現れたのです。
バスの中から前を見ると、1頭の大きなゾウがこちらに向かって道を歩いてきます。
ゾウは前方の車の前で道から外れ、私たちのバスの横まで来て止まって木を食べ始めるというサービスの良さ。
これがインドのゾウなら後ろから商売人が出てきてサービス料を取ろうとするところですが、ここはアフリカ、正真正銘の野生ゾウ。ビッグなお土産を見られた幸運に感謝。
- サヨナラ・ジンバブエ
これでジンバブエ観光は全て終了。
空港から国際線に乗り、夕再び南アフリカへ戻りました。
ヨハネスブルグ空港三度目で初めて空港の外へ出て、数10km離れたプレトリアへ向かいます。
アフリカ滞在はとうとう1日を残すのみ。