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宮沢賢治幻燈館 「水仙月の四日」 2/11 |
二匹の雪狼(ゆきおいの)が、ぺろぺろまつ赤な舌を吐きながら、象の頭のかたちをした、雪丘の上の方をあるいてゐました。こいつらは人の眼には見えないのですが、一ぺん風に狂ひ出すと、台地のはづれの雪の上から、すぐぼやぼやの雪雲をふんで、空をかけまはりもするのです。 |
「しゆ、あんまり行つていけないつたら。」雪狼のうしろから白熊の毛皮の三角帽子をあみだにかぶり、顔を苹果(りんご)のやうにかがやかしながら、雪童子(ゆきわらす)がゆつくり歩いて来ました。 |