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山男は、金いろの眼を皿のやうにし、せなかをかがめて、にしね山のひのき林のなかを、兎(うさぎ)をねらつてあるいてゐました。
ところが、兎はとれないで、山鳥がとれたのです。
それは山鳥が、びつくりして飛びあがるとこへ、山男が両手をちぢめて、鉄砲だまのやうにからだを投げつけたものですから、山鳥ははんぶん潰れてしまひました。
山男は顔をまつ赤にし、大きな口をにやにやまげてよろこんで、そのぐつたり首を垂れた山鳥を、ぶらぶらふりまはしながら森から出てきました。
そして日あたりのいゝ南向きのかれ芝の上に、いきなり獲物を投げだして、ばさばさの赤い髪毛(かみけ)を指でかきまはしながら、肩を円くしてごろりと寝ころびました。
どこかで小鳥もチツチツと啼き、かれ草のところどころにやさしく咲いたむらさきいろのかたくりの花もゆれました。
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