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それから二人はだまってだまってときどきしくりあげながら、ひるの象について来たみちを戻った。
それからペムペルは、にぎりこぶしを握りながら、ネリは時々唾をのみながら、樺の木の生えたまっ黒な小山を越えて、二人はおうちに帰ったんだ。あゝかあいさうだよ。ほんとうにかあいさうだ。わかったかい。ぢゃさよなら、私はもうはなせない。ぢいさんを呼んで来ちゃいけないよ。さよなら。」
斯(か)う云ってしまふと蜂雀の細い嘴(くちばし)は、また尖ってじっと閉ぢてしまひ、その眼は向ふの四十雀をだまって見てゐたのです。
私も大へんかなしくなって
「ぢゃ蜂雀、さやうなら。僕又来るよ。けれどお前が何か云ひたかったら云ってお呉れ。さよなら、ありがたうよ。蜂雀、ありがたうよ。」
と云ひながら、鞄をそっと取りあげて、その茶いろガラスのかけらの中のやうな室を、しづかに廊下へ出たのです。そして俄かにあんまりの明るさと、あの兄妹のかあいさうなのとに、眼がチクチクッと痛み、涙がぽろぽろこぼれたのです。
私のまだまるで小さかったときのことです。
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