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わかったかい。けれども、おいおい。そこもスコープではいけない。そのすぐ下に肋骨が埋もれてる筈ぢゃないか。」大学士はあわてて走って行きました。
「もう時間だよ。行かう。」カムパネルラが地図と腕時計とをくらべながら云ひました。
「ああ、ではわたくしどもは失礼いたします。」ジョバンニは、ていねいに大学士におじぎしました。
「さうですか。いや、さよなら。」大学士は、また忙がしさうに、あちこち歩きまはって監督をはじめました。二人は、その白い岩の上を、一生けん命汽車におくれないやうに走りました。そしてほんたうに、風のやうに走れたのです。息も切れず膝(ひざ)もあつくなりませんでした。
こんなにしてかけるなら、もう世界中だってかけれると、ジョバンニは思ひました。
そして二人は、前のあの河原を通り、改札口の電燈がだんだん大きくなって、間もなく二人は、もとの車室の席に座って、いま行って来た方を、窓から見てゐました。
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