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砂がきしきし鳴りました。私はそれを一つまみ
ふくろく
とって空の微光にしらべました。すきとほる複六
ほうすい
方錐の粒だったのです。
(石英安山岩か流紋岩から来た。)
私はつぶやくやうに又考へるやうにしながら水
際に立ちました。
(こいつは過冷却の水だ。氷相当官なのだ。)私
はも一度こゝろの中でつぶやきました。
りんくわう
全く私のてのひらは水の中で青じろく燐光を出
してゐました。
にはか
あたりが俄にきいんとなり、
(風だよ、草の穂だよ。ごうごうごうごう。)こ
ことば
んな語が私の頭の中で鳴りました。まっくらでし
た。まっくらで少しうす赤かったのです。
私は又眼を開きました。
いつの間にかすっかり夜になってそらはまるで
や
すきとほってゐました。素敵に灼きをかけられて
よく研かれた鋼鉄製の天の野原に銀河の水は音な
く流れ、鋼玉の小砂利も光り岸の砂も一つぶづつ
数へられたのです。
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