蒲 松 齢(ほ しょうれい)作
聊斎志異(りょうさいしい)より
天 宮(てんきゅう)
都に住む郭(かく)という生員は二十歳くらいの美男でした。
ある日の夕方、老婆が郭の書斎をおとずれ、誰からとも言わず、持ってきた酒をおいて帰ってしまいました。
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かめのふたを開けてみると、それはすばらしい芳香が部屋中に広がりましたから、郭はがまんできず、さっそく飲んでみると、たちまち酔ってそのまま倒れて寝込んでしまったのでした。
気が付くと、真っ暗な中でベッドに寝ているのです。
なにか不思議ないい香りがして、隣にだれか寝ているようです。
言葉をかけても答えはありません。
さわってみると、しっとりとしたやわらかな手触りです。
寝ているのはまちがいなく女性なのです。
それで、無言のまま性行為におよんだのでした。
まわりにさわってみると、壁は石でできているようで冷たく、まるで墓の中なのです。
幽霊にとりつかれたのではないかと恐ろしくなった郭(かく)は
「あなたは神様でいらっしゃいましょうか」と聞いてみました。
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