蒲 松 齢(ほ しょうれい)作
聊斎志異(りょうさいしい)より
嬌 娜(きょうだ)

孔雪笠(こう せつりゅう)という人は孔子の末裔ということで、穏和な人柄で、詩を作るのが巧みだったそうです。
知事をしている友人の招きで浙江省の天台県というところに出かけましたが、着いてみると友人は急病で亡くなっていたのでした。
ご先祖も金儲けには関心がなさそうですが、この人も裕福な家柄ではなかったようで、当てにしていた友人が死んでしまったので帰りの旅費がなく、そのあたりのお寺に住み込みで写経のアルバイトなどをして暮らしていました。
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ある大雪の日、空き家になっている単(ぜん)氏の邸宅の前を通りかかると、不意に門の扉が開いて、爽やかな感じの若者が顔を出しました。
若者は、積雪の中で困っている孔を見て、はいって休んでいくように声をかけてくれたので、孔は喜んでその若者にしたがって屋敷にはいったのでした。
孔の身の上話を聞いて同情した若者は、塾を開いて弟子を取ったらとすすめるので
「どこの者とも知れない馬の骨に弟子入りする人がありましようか。先立つ物もありませんし……」
「わたしのような者でよければ弟子にしていただけませんか」

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