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「弟子だなんてとんでもない。一緒に学ぶ友人ということなら……」
若者は皇甫(こうほ)という姓を名乗り、家が野火で焼けてしまい、一時この屋敷を借りているのだと説明したので、単家の人ではないことがわかったのでした。
その日は引き留められるままに夜遅くまで語り合って大いに意気投合し、同じ部屋に泊めてもらいました。
翌日は公子の父親が挨拶に来て、立派な衣類や帽子、靴などを贈られ、昼から酒宴が開かれたのでした。
夜になるとまたまた公子が酒席を設け、使っている子供に命じて侍女の香奴(こうど)を呼び寄せました。
「父が使っている侍女で、琵琶の名手なのです」
琵琶を抱いて侍童が戻ってくると、つづいて目を見張るような美女がはいってきました。
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公子に「湘妃(しょうひ)」という曲を望まれた女は、今まで聞いたことのない見事な音色と曲調で巧みに琵琶をかなでるのでした。
翌日からは勉強が始まりましたが、公子は聡明で、二三か月もするうちに見違えるような詩文を作るようになったのでした。
五日に一度は酒を酌み交わし、そのたびに侍女の香奴に琵琶を弾かせました。
ある夜、孔が穴の開くほど香奴を見つめていると、公子がそれに気付いて
「おひとりでご不自由なのは、よく存じております。近いうちにいい人をお世話しますよ」
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