聊斎志異より 「寒月芙きょ」 1/5
蒲 松 齢(ほ しょうれい)
 聊斎志異
(りょうさいしい)より
寒月芙(かんげつふきょ)

 

済南道人(せいなんどうじん)は出身地不明、住所不定という人で、一時、済南の町にいたのでそのように呼ばれたのです。
道人は、道教の修行を積んだ、ちょっとした仙人のような人なのです。
この人は、お相撲さんのように年中ひとえの着物一枚に黄色のヒモを締め、冬でもそのまま雪の積もった道に寝てしまうのですが、体のまわりの雪や氷はみんな融けてしまったそうです。

ある日、町の外を流れる川で道人が体を洗っておりますと、脱いであった着物を男が取り上げてしまったことがありました。
以前、道人は町で幻術を使って見せたことがあり、町の人は感心して様々の贈り物をしました。
この男は、酒を贈って術を教えてくれるように頼んだものの断られたのを根に持って、道人を困らせようとしたわけなのです。