聊斎志異より 「尸変」 1/5
蒲 松 齢(ほ しょうれい)
 聊斎志異
(りょうさいしい)より
尸 変(しへん)

 

蔡店(さいてん)村は、山東省陽信(ようしん)県の県城まで20キロほどの、街道ぞいにある村でした。
老人とその息子が、そこで宿屋をしておりました。
 
夕暮れ時、四人連れの旅人が来ましたが、あいにくその日は空いている部屋がありません。
近くに宿はないので、旅人はどこでもいいから泊めてくれと頼むのでした。
ちょうどその日、宿屋の嫁が急死したばかりで、嫁の夫である息子は町まで棺桶を買いに出ていて、死体は離れに置かれたままになっておりました。
四人連れはその離れに案内されたのでした。
扉のない隣の部屋には、紙のふとんを掛けられた死体が寝かされているのが、暗い灯りのもとに見えるのです。
それでも、旅人たちは疲れていましたから気にもならず、横になるとすぐに寝込んでしまいました。
ただ、そのうちのひとりだけが寝付けず、うとうとしておりました。