聊斎志異より 「尸変」 2/5

隣の部屋で紙がガサゴソいう音がするので、ふとそちらを見ますと、なんと、女の死体が紙のふとんをめくって起きあがってくるではありませんか。
女は音もなくこちらの部屋にはいってくると、寝ている旅人たちに、ふっ、ふっ、ふっ、と三度ずつ息を吹きかけてまわるのです。
次は自分の番だと、男はふとんを頭からかぶり、生きた心地もしません。
女のおおいかぶさる気配がして、冷たい息がふとんのすきまからはいってきます。
 
やがて女は遠ざかるようですから、そっとふとんを持ち上げてのぞいてみると、また紙をカサコソいわせて、横たわるのが見えました。

隣の男をつついてみましたが、まるで動きません。
男が逃げ出そうと、起きあがって服を着かけると、また紙のふとんがカサコソと鳴って、女の死体が起きあがるようです。
驚いた男がふとんにもぐり込むと、また女のおおいかぶさる気配がして、今度は念入りに何度も息を吹きかけるのでした。