やがて息を吹き返した男から事の顛末を聞き、ちょうど夜明けの光も射してきたので、事件を県の役所に知らせたのでした。
珍しい事件ですから県知事自身が出向いて調べたのでしたが、幹に食い込んだ女の爪はまるで鋼鉄のようで、何人かが掛かってやっと引き離すことができたのだそうです。 宿屋を調べに行くと、男の連れが三人とも死んでおり、嫁の死体がなくなっているというので大騒ぎの最中だったのでした。 「こんな事件にあって仲間が死んだと言っても誰も信じてはくれないでしょう」 というので、男は県知事に泣きついて事件の証明書を作ってもらい、それを持って郷里に帰ったということです。