聊斎志異より 「香玉」 3/8

そこで、その夜は楽しみをともにした──というので、黄さんもあまり道士の批判はできません。
おまけに後で知るところでは、この人、女房子供がいたのです。
ともあれ、明けやすい初夏の空は早くも白んで、きぬぎぬの別れとなり、香玉はお返しに一首の詩を贈りました。
  良夜 さらに尽きやすく
  朝暾(ちょうとん=朝日)すでに窓にのぼる
  願わくは 梁上のつばめのごとく
  棲むところ おのずから双を成さん

「才色兼備とは君のことだ」と感激した黄は、夜だけでなくいつでもここに来てくれるようにと、香玉の手を取って頼みました。
 
それからは香玉は昼も夜も黄の書斎をおとずれるようになりました。
黄はいつも姉の絳雪(こうせつ)を連れてくるように言うのですが、 「姉は私と違って浮いたことがきらいなのです。そのうちに誘ってはみますけれど」ということで、絳雪はなかなか現れません。

ある夜、香玉が部屋にはいってくると、
「姉を誘うどころではなくなりました。あなたともお別れしなければならなくなったのです」と、沈んだ顔つきで言うのでした。
わけをたずねても「これが運命なのです」と答えて泣くばかりです。