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翌日、道観を見物に来た藍(らん)という名の有力者が、白い牡丹の大木が気に入り、堀りとって自宅の庭に植え替えてしまいました。
黄はそれで、香玉が白牡丹の妖精であったことに気づいたのでした。
その後、植え替えた牡丹が枯れてしまったことを道士から聞いた黄は、花を哀悼する詩五十首を作り、毎日、牡丹を掘り取った跡に行っては泣いていました。
ある日も牡丹の跡を弔って帰るとき、ふと振り返ると、同じ場所であの赤い着物の女が泣いているのが見えました。
戻っても女は逃げなかったので、袖を引いて部屋に誘うと、黙ってついてきます。
「誘ってくれるよう香玉に頼んだのに、なぜ来てくれなかったのです」と聞いてみると、
「あなたを軽薄な遊び人と思っていたのです。こんなに誠実な人とは思いませんでした。でも、夜のおつきあいは私にはできません」
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そう言うのを無理に頼むと、一夜をともに過ごして帰ったのでしたが、それきり何日待っても参りません。
ある雨の夜更け、眠られぬまま、先の詩に続けてまたひとつの詩を作ったのでした。
山院 黄昏の雨
簾を垂れて小窓に坐す
相思の人 見えず
中夜 涙 双双たり
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