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燈火をともし、できた詩を歌っていると
「せっかくお作りになった詩に、後を付ける必要がありますね」
窓の外で声がして、はいってきた絳雪(こうせつ)は、また詩を続けます。
連袂(べい=そで)の人はいずこ
孤燈 晩窓を照らす
空山に人 一人
影に対し おのずから双をなす
絳雪はその後ときどきは部屋に来るものの、香玉とは違って 酒や詩の相手といった おつきあいなのです。
黄も「香玉は愛妻、絳雪は良友だ」と言って、しつこくすることはなかったのでした。
それでも絳雪を庭に連れ出して、この牡丹が君かと一々指さしてきいたことがありました。
「今のうちに教えてもらえば、香玉のようにさらわれる前に、鉢植えにして家に移しておくよ」
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「生えている土から離れることはできないので、お教えしてもむだです」
絳雪はそう言って笑うのでした。
年越しのために、黄は年末からしばらく家に帰ったのでしたが、二月のある夜、絳雪が夢の中に現れ
「困ったことになりました。これがお別れになるかもしれません。急いでおいでいただければ、まだお会いできると思いますが……」と言うのでした。
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