聊斎志異より 「香玉」 6/8

黄は馬を用意させ、いそいで旅じたくを整えて、休む間も惜しんで道観に駆けつけました。
ちょうど寺は増築中で、大きな耐冬の木が邪魔だというので切ろうとしているところでしたから、すぐに道士にかけあって、やめさせたのでした。
 
その夜お礼に来た絳雪に、笑いながら言いました。
「これで君の正体がわかったから、しばらく来ない時はお灸をすえてやるよ」
「そんな方だと思っていたから教えなかったのですよ」
 
それからしばらく後、絳雪がうれしそうにはいってきました。
「いい知らせですよ。花の神様があなたの情けに感動されて、香玉を元の場所に生まれ変わらせてくれることになったのです」
「いつ頃?」
「わかりませんが、そんなに先のことではなさそうです」


絳雪がしばらく来なかったので、幹にお灸をすえてやろうと黄がモグサをまるめておりますと、絳雪が来てモグサを奪い取って投げ捨てました。
黄が笑って絳雪を抱き寄せたとき、あの牡丹の香玉がふわふわとはいってきたのでした。