聊斎志異より 「香玉」 8/8

さらに十年以上もたって、黄は病気になりました。
見舞いに来て泣く息子に、黄は笑いかけるのでした。
「これは私が生まれ変わる時なのだ。悲しむことはない」
そして道士に向かい、
「白い牡丹の下に赤い芽が出て、葉が五枚ついていたら、それが生まれ変わった私です」
と言うと、それぎり口を閉じてしまったのでした。
息子は黄を輿に乗せて連れ帰りましたが、家に着くとすぐに死んだのです。
 
翌年、白い牡丹の下に太い芽が出て、その
ようすが黄の言ったとおりでしたから、
道士は不思議なことと感心して
熱心に牡丹の世話をしました。

三年たつうちに牡丹は見上げるほどに大きく太くなりましたが、花はまったく咲かなかったのでした。
道士が亡くなると、その弟子たちは花の咲かない牡丹をじゃまにして切り捨ててしまいました。
すると白い牡丹も元気をなくして枯れ、耐冬の大木もまた枯れてしまったということです。