Web 絵草紙
「祇園の別当 戒秀、誦経に行はれたる語」 1/4
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 今昔物語より
「祇園の別当 戒秀
   誦経に行はれたる語」

 (ぎをんの べつたう かいしう
     じゆきやうに おこなはれたること)

今は昔、国司を勤めた立派な人の屋敷(の奥方)に、祇園の別当(寺の取り締まりの僧)で戒秀(かいしゅう)という名高い僧が密かに通っておりました。
主人は薄々気付いてはいたものの、知らないふりをしていました。

ある時、外出した主人と入れ替わりにはいってきた戒秀が、自分の家のようにふるまっていると、にわかに主人が戻ってきました。
奥方や女房たちが何となくそわそわしているので、主人は『ははぁ、来ているな』と奥にはいってみると、大きな長持に、いつもと違って鍵が掛けてあります。