それでも、そのままにもしておけないので、おそるおそる蓋を開けると、そこから別当が顔を出しましたから、僧たちは驚いて逃げ去ってしまい、使いの侍も逃げ帰ってしまいました。
戒秀もユーモアのある人だったから長持の中からそんなふうに言えたのでしょう。 これを聞いた人たちは「気の利いた処置だ」と、ほめたということです。
その間に、戒秀は長持から這い出し、こそこそと走って自分の部屋に隠れたのでした。 『戒秀を引きずり出して踏んだり蹴ったりするのも人聞きが悪いだろうから、ただ恥をかかせるだけで済ませてやろう』と、賢明な国司は思ったのでしょう。