Web 絵草紙
「兵立てける者、我が影を見て怖れを成せる語」 1/4

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 今昔物語より
兵立てける者、
 我が影を見て怖れを成せる語
(つはものだてけるもの、
  わがかげを みて おそれを なせること)

今は昔、ある国司の家来で、勇猛な武士と見られたい為に、人前でひどく武ばった様子をする男がありました。
その男が夜明け前に出掛ける用事ができて、男の妻は食事の用意をしようと、暗い内から起きましたが、差し込む月の光に、烏帽子もかぶらないぼさぼさ髪の男の影が映りました。
てっきり泥棒と思った妻は、慌てて寝ている夫に駆け寄り、
「大変! あそこに、ぼさぼさ髪の童盗人(わらわ(髷を結っていない)ぬすびと)が立ってます。泥棒ですよ」と、耳元でささやきました。