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「それは一大事! そやつ、どうしてくれよう!」と、男は枕元にあった刀を取り、
「そやつの素っ首、打ち落としてやる!」と、出て見ますと、刀を持った男の影が見えますから、
『なんと、子供じゃなくて、でっかい男じゃないか。しかも抜き身を持ってる。あれで頭を割られたら えらいことだ』と思い、ふるえ声で
「をう!」と叫んでおいて、妻の居る所に逃げ帰り、
「おまえは立派な武士の妻だと思っていたのに、どこに目をくっつけてるんだ。何が童盗人だ。刀を持った男じゃないか。だが、やつは臆病者だ。俺を見て、刀も落としそうに震えていたぞ。」
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