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僧を引き起こしましたが、矢は見事に命中して既に死んでいます。
下になった女を見ると自分の妻ですから、もしや見間違いではと抱き起こしてみれば間違いなく妻です。
「これはどうしたことだ」と聞けば、妻は事の次第を詳しく話しました。
近くには祭の飾りや供え物が並んでいますから、妻の話の偽りでないことがわかります。
そこで夫は僧を谷に放り込み、妻をいたわって家に帰ったのでした。
あさましい法師を仏が憎まれたのに違いありません。
また、前世の悪行によってそうなったのでしょう。
ただ、これを見れば、女は身分の上下を問わず、つまらぬ者の言葉を無分別に真に受けて、ひとりで行動してはいけないと語り伝えたということです。
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