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正親(おおきみ)の大夫は驚いて、
「昨夜はこんな恐ろしい事があったのだ。妖怪の棲む所に人を泊まらせるなんて、ひどいやつだ」
女はそんな所とは全く知らなかったと答えたのでしたが、今さらどうにもならず、あきらめるしかなかったのでした。
これは、その正親(おおきみ)の大夫が年老いてから人に語ったのを聞き伝えたものでしょう。
そのお堂は今もあるということです。
七条大宮のあたりにあるとかいうことですが詳しいことはわかりません。
そんな訳ですから、無人の古いお堂などには泊まってはならないと語り伝えたということです。
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